医療教育情報センター

医療福祉

 これまでわが国では、医療は医療、福祉は福祉とそれぞれの専門家が担当して、お互いの連携が必ずしもうまくいっていたとは言えない。しかし、医療を受ける側からすれば、どこまでが医療でどこからが福祉なのか全く分からず、医療提供者側でさえ明確でない場合がある。
 以前より社会福祉士は、ソーシャルワーカーとして医療と福祉の架け橋的役割を果たしてきたが、これからはもっと広い意味での医療福祉を考えなければならなくなった。
 病院医療は急性期の高度医療を担当し、それが終了すればリハビリテーション、慢性期病院、療養病院或いは介護老人保健施設などを経て在宅ということになっているが、現実にはどこからが次の施設の役割か分かり難いこともある。
 平成12年から日本にも介護保険が導入されて、これまで老人保険でまかなわれていた部分が介護保険に取り込まれるようになり、慢性期医療を受けている患者が、介護老人保健施設を利用する場合は介護保険から支払われることになった。
 これからの医療は益々高度化、細分化していくが、一方では福祉も含めた医療を実施しなければならない場合は増加することが予想される。こうした状況の中で、医療と福祉に関する問題点として次のようなことが挙げられる。

 (1) 高齢者医療:老健施設に入所して来られる高齢者は複数の疾患を持ち、治癒することは難しく、継続的に治療が必要な場合も多く、老化現象の進行と共に、病状も変化していく。複数の疾患に対 してそれぞれ多くの薬剤が処方され、それらを何時まで継続すべきか判断に迷うこともある。中には血圧も安定して薬剤が必要でなくなる人や、血糖値も安定して血糖降下薬がいらなくなる人も見られる。しかし長年服用していた薬を中止することへの不安感を示す人もいて難しいが、日常生活のケアを十分にすれば、症状が安定するのも事実である。

 (2)精神科医療:精神疾患により治療を受けている患者は、症状が安定して社会生活が可能になっても、社会の受け入れ態勢は十分でなく、いつまでも精神病院へ入院させられ、入院患者の増加が問題となり、受け入れ態勢作りが進められている。精神障害者の作業施設が設置され、精神医療福祉士が国家で認定され、精神障害者の社会復帰への援助をすることになっているが、社会の精神障害者に対する目は厳しく容易ではない。

 (3)終末期医療:ホスピスあるいは緩和ケア病棟などで癌末期の患者に対する総合的ケアが専門的に実施され、健康保険でも特別の費用を認めるようになったが、日本全体ではまだその絶対数が不足し、またがん以外の患者、痴呆患者、高齢者などの終末期に対するケアが十分ではない。在宅ホスピスあるいは在宅終末期診療を実施しているところもあるが、これらの中には医療だけでなく生活の援助或いは支援が必要なケースも多いが、介護保険ではまだまだ十分な配慮がなされていない。(SF)

(No004;2003/11/10



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