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インフオームド コンセント

 医学知識や医療技術が進歩し、同時に社会が変化して行くのに伴って、医療に関する人々の考え方も変わってきて、そこに新しい概念が登場してくる。
 インフオームド コンセント informed consent は、20世紀初頭から主としてアメリカにおいて発達してきた医療上の新しい概念である。
 19世紀の終わり頃まで、患者と医師の間で一旦診療が行われれば、医師の治療行為は患者のために「良い」ということを前提にしているのであるからその行為は認められるという考え方であった。しかし20世紀に入ると、こうした考えを認めない医療訴訟の判決が続出し、医師の治療行為には「患者の承諾・同意」が必要となった。つまり患者の同意なき治療行為は不法であるというようになった。
 さらにその後、患者が同意するためには、医師の説明が十分行われたかどうかが問われるようになり、「医師の説明義務」という問題が新しく登場した。
 こうした考え方を指示する判決が、アメリカ各州で相次ぐ一方、1960年頃から消費者・一般市民の権利を主張する運動がアメリカでは盛んになり、社会全体が「知る権利」を求めるようになった。つまり十分な情報を与えられた上で、消費者・一般市民は自らの選択権を行使するという風潮が一般的になってきた。これは医療の面でも当然波及し、インフオームド コンセントはこうしたアメリカの社会的土壌の中で醸成されたのであった。

 わが国では日本医師会が1990年1月、「説明と同意」についての報告書を発表した。その中でインフオームド コンセントは、医療訴訟をめぐる裁判の法理論として発展してきた経緯はあったにしても、わが国では患者と医師の信頼関係を再構築するための一つの契機となるようにと述べられている。
 従来から医療は、医師の「パターナリズム(父権主義)」と患者の「おまかせ主義」で行われてきた傾向にあった。医師は患者のために「良かれ」と思って診療しているのだし、患者も「おまかせします」と言う方が楽であると考えていたのかもしれない。
 しかし人々の権利意識の向上、医療訴訟の増加、複数の治療法の選択、患者の協力による治療など、医療をとりまく環境も大いに変化し、そこにインフオームド コンセントという概念が誕生したのであった。インフオームド コンセントは患者の自己決定権に奉仕することを目的として、医師に説明義務を課することであり、その説明義務は「合理的医師」を判断の基準としている。(合理的医師とは、医師集団の中で“平均的”と評価される医師を指す法律用語)。
 実際に一般の日常診療でインフオームド コンセントが対象となる場合は、先の日本医師会の報告書によると次のとおりである。
 (1) 病状・処方薬剤および治療内容
 (2) 手術・検査の承諾
 (3) 新薬の臨床試験
 (4) 社会医学的処置
 (5) がんの告知
インフオームド コンセントの中で難しいものの一つである。症例ごとに十分考慮して慎重に対応することが必要である。
 (6) リビング ウイル
 (7) その他                      

(NH)(No006;2004/01/09)

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