医療教育情報センター

No9 乳癌の悪性度検査 HER2とは

 百人集まればみんな顔が違うように、乳癌患者さんが百人居れば百種類の乳癌があるのではないか。個体差があると言う事は生物の最大の特徴である。癌細胞も生きている細胞である。乳癌にも増殖、浸潤が旺盛で、転移のスピードが速いものがあることは昔から知られていたが、その理由はわからなかった。
 細胞の増殖を促す因子を細胞が作っている。それを増殖因子(growth factor)と呼び、多数のものが知られている。細胞はその増殖因子を受け入れる装置をもっている。これを受容体(receptor)と呼ぶ。HER2はヒト上皮細胞増殖因子の受容体と類似の構造を持つ癌遺伝子の一つである。 HER2はHuman Epidermal Growh Factor Type 2(ヒト上皮細胞増殖因子受容体2型)の略である。HER2蛋白を過剰に持っている乳癌患者の予後は不良で、約20乃至30%に見られる。そこで、最近は手術で切除された乳癌について免疫染色という技法を用いて、病理医が顕微鏡下で癌細胞がこのHER2を発現しているか否かを調べる事が出来るようになった。顕微鏡下で発現している癌細胞の染色の強さと数量によって、0、1+、2+、3+と4つに分類している。2+や3+は増殖の強い乳癌細胞と見なされる。
 朗報として、このHER2蛋白だけに特異的に結合するハーセプチンと呼ぶ抗体がアメリカで開発され、HER2強陽性で、転移や再発のある乳癌に対して有効である。このハーセプチンはこれまでの抗がん剤と違い、正常の細胞を障害しない。(IS

(No009n;2003/11/21)


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