医療教育情報センター

経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)

 経口的に食事が取れなくなった患者に対して栄養補給をするためには、中心静脈にカテーテルを挿入した経路から高カロリー輸液を注入するか、あるいは鼻腔から胃まで管を入れるか、または胃の中へ直接管を入れる胃瘻造設などが行われる。
 栄養学的アセスメントを行ったのち、消化管が機能している場合は経腸栄養を選択し、消化管が安全に使用できない場合(閉塞、腹膜炎、難治性嘔吐、急性膵炎、イレウスなど)に静脈栄養を選択する。
 1980年に米国で開発された経皮内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy : PEG)は、1990年代に日本でも行われるようになり、内視鏡を使って局所麻酔で、小さな切開で、わずかな侵襲で胃瘻造設ができることから1995年ころから急速に普及してきた。1995年米国では胃瘻造設術が121,000人の高齢者に実施され、その内の約30%は痴呆患者であったという。
 高度痴呆の高齢者が末期になって経口摂取が困難になってきた場合に経管栄養を行うべきかどうかが問題となる。高齢者にとって口から食べるということは生きる楽しみの一つであると考えるので、老健施設や老人ホームではできる限り経口摂取を援助すべきである。
 一方胃瘻カテーテルから注入する場合に栄養剤に寒天を加えて半固形にして、逆流性食道炎の防止や下痢予防をしているところもある。
 米国のナーシングホーム(日本の特別養護老人ホーム)の入所者の30%強に経管栄養が行われているという報告もある。痴呆末期に経口摂取が出来なくなったときにチューブを入れた場合と最後まで経口摂取に努めた場合で予後をみると両者に差はなく、また、誤嚥による肺炎の発生に関しても両者では差がなく、経管栄養で肺炎は予防できないというデータもある。
 日本の老人保健施設や特別養護老人ホームによってはチューブの入っている利用者を断る傾向もあり、病院でチューブが入った患者の行き先が見つからなくて困っていると言う話も聞かれる。(SF)

(No013;2004/09/17)

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