医療教育情報センター

国際疾病分類 ICDについて

 International Classification of Diseasesの略であるが、正式名称は、 International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems である。
 もともと死亡原因を国際的に共通する方法で分類することを目的として1900年にWHOが始めたのだから、歴史は古い。従って「新しい診療理念」としてここに登場するのは適当でないと思われるかもしれないが、近年、ICDの内容、利用目的が大きく変化してきているので紹介する。
 疾病、傷害、死因の統計は、各国の健康・福祉行政の企画、人口問題、医学研究などに重要な資料となるので、その分類は国際的に統一する必要があることから、世界保健機関(WHO)によって実施されたのである。
 医学の進歩によってこれは時代とともに当然改定される必要があり、10年ごとに改正が行われている。1990年に第10回目の改定が行われたので、現在ではICD−10と呼ばれているが、第10回改定以後は3年ごとの大改正(次回は2006年)と1年ごとの小改正が行われており、WHOではICD−11への改定は行わない方針だという。
 ICD−10の実際の記載法としては、アルファベットと数字を組み合わせて4桁標記が用いられている。第1桁にアルファベット、第2、3、4桁は数字を用いているが、第4桁の前に小数点をうつことにしている。
 例えば、感染症・寄生虫がA、B、腫瘍(新生物)はC、D、血液・免疫疾患はD、内分泌・栄養・代謝疾患はE、というようにしてZまで分類されている。第2桁目の数字は、疾患の部位で、例えば16は胃、さらに小数点に続く数字は詳細な発生部位あるいは病気の原因を表わすようにとりきめられている。
 こうすることにより、世界の異なる国における疾病の状況をこの基準を用いて比較できる、いわば標準的分類法ということになるわけである。
 こうした国際統一による標準分類法は、統計調査に有用であるばかりでなく、医学的研究、とくに新しい疾病の診断基準作成や臨床試験における治療薬剤の選択などにも有用である。
 さらに医療機関における診療録(カルテ)の病名記載、診療録管理などにも便利である。 平成15年4月から全国の特定機能病院などを対象に診断群分類であるDPC(Diagnosis Procedure Combination)を用いた包括支拂い制度が開始されたが、このDPCの診断群分類コードの中にICD−10が応用されている。
 問題はこうした診断群分類による病名が、米国医療でみられるように民間保険会社の診療報酬をきめるために利用されない注意が必要であろう。
 ICD−10は、あくまでも医学研究、統計調査のための疾病分類であって欲しいものである。(NH)

(No014;2004/11/01)

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