医療教育情報センター

No15 病院医師の名義貸しとその背景

 大学病院医師の名義貸しが社会問題となっている。類似の事件は以前からあったが、2年前に北海道はじめ各地の大学病院の事例が明らかとなり、文部科学省が過去1年半について調査したところ、51大学の1167人が名義貸しに関与していたとする回答があったという。その後、立ち入り調査や診療報酬返還命令、関係職員の処分や裁判、関係者の自殺など、影響が各方面に広がっている。医療法違反の不正事件であることは疑いがないが、その原因と背景は極めて広く根が深い。新聞等では、大学と病院のなれ合い、医師の倫理観の欠如、大学医局制度の悪習、大学院生医師の処遇の不備などと、特定の原因に絞った追求がなされているが、全国にわたり多くの病院が関係していることからも推測できるように、長年放置されてきたわが国の医療保険制度の歴史的で構造的な背景に立った問題である。医療経営は、医療法が詳細に定めている施設基準といわれる規定・基準に則って行われているが、常勤の医師数は医療法第21条及び同施行規則19条などで定められている。その医師の定員を満たせない病院(標欠病院)では診療報酬が大幅に削減される。名義料や派遣謝金、病院側では診療報酬の不正請求という保険医療上の問題のほか、医師不足による診療科や病院の閉鎖、診療の遅れ、患者のたらい回しなど医療倫理上の問題も現実となりつつある。
 問題の表面ばかりでなく、地域医療の人的資源の現実、医療保険・診療報酬制度、医療行政など、広い視野での理解と問題解決への取り組みが望まれる。(RT)

(No015;2004/02/20)


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