医療教育情報センター

シンドロームX

 一般に、一つの原因からそれに対応する単独の病気が起こっていると分かれば、それが病名となっている。例えば、結核菌で起こる病気は結核症という独立した一つの病名となる。癌の原因はまだすべて解明されていないが、その病変部には共通性があるので、胃にできた癌は、胃癌と呼ぶことになっている。
 シンドロームは症候群と訳されている。同じような複数の症状が起こるが、その原因が分からないとき、あるいは原因と思われるものが複数存在すると推定され、それによって生じる症状群が共通しているとき、それをシンドローム(症候群)と呼ぶ。シンドロームXの「X」は、さらに不明なものがあるという意味である。シンドロームXは二つの意味に用いられている。一つはインスリン抵抗性,耐糖能異常、高インスリン血症などを持つ糖尿病予備軍に対して用いられているが、本来の意味でのもう一つは、胸痛発作があって、心臓の筋肉への血液不足を示唆する心電図に異常波形がでているのに、心臓を養っている冠動脈の造影を行ってみると、冠動脈の狭窄(動脈の内腔が狭くなって血液が流れ難くなっている)が見られないものをいっている。そして冠動脈造影中にアセチルコリンのような薬を投与すると、動脈が過度に収縮する(攣縮、スパズムと呼ぶ)機能的な内腔狭窄も見られないものである。即ち、症状は狭心症と同じであるが、通常の狭心症とは違い、太い冠動脈には心筋の虚血の原因となるような病変を認めないものである。典型的な胸痛発作があり、心電図の波形にも異常があるが、冠動脈造影では正常である。このシンドロームXは、閉経前の比較的若い女性に多く、ニトログリセリンが効き難いという特徴があり、冠動脈造影では観察できない細い動脈に異常があるのではないかと考えられている。(IS)   

(No016;2004/12/10)

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