医療教育情報センター

緩和医療(Palliative medicine)

 緩和医療とは医学・医療の本来の目的である病気の原因を明らかにしたり治療することが出来なくなり、増悪する症状で苦しんでいる患者の症状緩和を目的とする医療のことである。ターミナルケア、ホスピスケア、緩和ケア、終末期医療、end-of-life careなどとも言われる。
 WHOは「緩和医療は、患者とその家族が、生命を脅かす疾患に伴って直面する問題を、早期に認識し、適切に評価し、痛みやその他の問題を身体的、精神社会的及びスピリチュアルに治療することにより、苦痛を予防し、和らげることによってQOL(Quality of Life、人生の質)を向上させるというアプローチである」と定義し、スピリチュアルな面の重要性を強調している。
 癌末期の患者の痛みをなんとかできないかと考えた医師が集まって1977年に第1回日本死の臨床研究会が大阪大学臨床講堂で開催され、2004年には第28回大会がつくば市で開催され、参加者数も3000人を越え、そこには医師、看護師のほか栄養士やケースワーカー、宗教家など多職種のものが、それぞれの立場から、患者にとって最もよい方法を検討している。また医学的研究を主とする第1回緩和医療学会が1999年に札幌で1200人の参加者の下に開催された。
 緩和医療は医師だけではできず、看護師をはじめ、理学療法士、栄養士、ケースワーカー、宗教家、ボランティア、家族など多くの職種の人たちが協力して患者の抱える問題を解決するケアをしなければならない。そこで必要なことはチームをまとめるコーディネーターであり、チームワークであり、リーダーは看護師があたることもある。
 健康保険では緩和ケアを専門とする病棟すなわち緩和ケア病棟へ入院すると、入院料として1日34,000円が支払われ、この中に薬や治療に要する費用が含まれる。個室を使用すれば別に個室料を個人が負担しなければならない。このような緩和ケア病棟は全国で139箇所認可されていて、各地で増加している。
 緩和ケア病棟への入院は癌患者とエイズの患者に限定されていて、その他の慢性疾患、特に認知症(痴呆)高齢者末期の患者などは入院が認められておらず、そのような患者はどこで看取るのが患者あるいは家族にとって最も幸せと言えるかが問題となる。(S.F.)    

(No018;2005/02/14)

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