医療教育情報センター

ジェネリック(後発医薬品)―もう一つの視点

 新薬(先発医薬品)の特許期間満了後に発売され、医師が処方する薬であるジェネリック(後発医薬品)については、本欄にすでに紹介されているが(No009;2004/04/30)、主な特色は次の点である。(1)薬代が安く、薬価は平均すると半額。(2)新薬と同じ成分・同じ効き目。(3)20年以上の特許期間を経過して利用価値がある薬であり、効能や安全性が確認されていて安心。(4)欧米では広く使われており市場シェア50%以上を占めている。
 このうち、経済的なメリットが特に注目されている。我が国の医療費32兆円の20%を占める薬剤費6兆円のうち、4割ほどにジェネリックがあるところから、先発医薬品をジェネリックに切り替えれば1兆円の削減効果があると厚労省は計算している。実際、ジェネリックを処方すると処方料を加算して使用を促したり、国立病院に対しては、患者への処方に際しジェネリックがあれば必ず使用を検討するように求めている。一方、患者にとっても、保険の自己負担が3割に増えた現在、医療費負担を軽くする一助となる。
 ところが、現時点では日本のジェネリックの市場シェアは12%にすぎず、普及は進んでいない。その背景には、患者・医師・薬剤師・調剤薬局の抱える問題がある。
 患者にとって薬代が半額というのは魅力であるが、実際に計算するとそんなに大きな金額にならない。医薬費の支払が1万円の場合、薬代は約2割の2000円。薬をすべてジェネリックに切り替えたとすると半額の1000円、保険で3割負担の場合は、300円安くなる計算になる。これをどう評価するか。
 医師側の問題もある。ジェネリックは以前から存在しており、価格の面などから規模の小さな開業医や診療所で主に使用されてきた。特許切れ直後にゾロゾロと出てくるところからゾロ品と侮蔑的表現をされてきた経緯がある。勤務医の中には「安かろう悪かろう」のイメージが強く、ジェネリックの処方に抵抗感がある。ジェネリックは一般名(成分名 generic name ジェネリックの由来)での処方が原則であるが、医師は経験年数が長くなると薬の名前は商品名でしか覚えなくなり、患者がジェネリックを希望しても一般名で処方できないということが起こりうる。
 薬剤師や調剤薬局の問題としては、ジェネリックには同一成分の商品がいくつも存在するため商品名を指定されると、在庫がないとかすぐに取り寄せられないケースがでてくる。しかし、日本では薬剤師が患者と話し合って同一成分の医薬品に変えることは許されていない。すべて、処方医に電話等で了承を得る必要がある。これでは、待ち時間の短縮を院外処方一番のメリットとしている患者にとっては敬遠することになりかねない。
 こうした問題点を抱えながらも、経済性以外にもう一つの視点からジェネリックの普及をとらえる必要がある。日本人は薬好きの国民と言われているが、国民も医療関係者も薬について十分理解し、厳しく評価しているとは言い難い。
 ジェネリックの対象となる主な病気は生活習慣病である。生活習慣病はある意味で患者の分身ともいえ、自己責任が加わってくる。無条件に薬に頼るのは賢明ではない。薬の副作用にしても、同じ薬で副作用が出る人と出ない人があるのは、患者側の違いである。自分にとって、本当に必要な薬か、薬価にみあう効果があるのか再点検する姿勢も必要である。
 医師は診断を付けることには熱心であるが、治療、特に薬についてはそれほど詳しくない。これまで医学部で習ってきたのは基礎薬理学であり、臨床薬理学ではないからである。薬剤師についても、一般名で処方された薬を変更できる資格を獲得するには、医師とディスカッションできる医学知識が求められる。
 かくて、ジェネリックの処方をめぐって国民と医療関係者が自己点検する機会になれば、経済効果を超えて素晴らしいことではなかろうか。(TI)    

(No019r;2005/04/11)

ジェネリック医薬品関連記事                 新しい診療理念・バックナンバー