医療教育情報センター

No20 脳血管内手術

 SF映画「ミクロの決死隊」では人体の血管内に小さくなった人間が入って行き、病変部位でそこの治療をするという想定になっていた。それに近い事が最近の技術の進歩により出来るようになった。
 血管カテーテルの先端を脳動脈瘤の近くまで誘導してもって行き、動脈瘤内へ物を詰めて出血を防止することができるようになったのである。動脈瘤以外でも脳動静脈奇形の閉塞や脳腫瘍への栄養血管の閉塞などが行われている。
 手術そのものは血管撮影と同じで患者に与える侵襲は少ないが、合併症として出血や末梢の血管閉塞(脳塞栓)などを起こす事があり、そのために命を失ったり、重篤な神経症状を残す危険性がある。
 手術を安全に実施するために日本脳血管内治療学会では独自の専門医認定制度を発足させて技術レベルの維持を図ろうとしている。この制度では指導医或いは専門医の指導のもとに決められた数の血管内治療の経験を積むことが求められている。
 患者にとって侵襲が少ない治療法は望むところであるが、危険を伴うような手術はどこの病院でも勝手に行うわけにはいかない。専門医や指導医の数がかなり増えてくれば、脳血管内治療実施のガイドラインを作成し、必ず指導医か専門医が立ち会って手術を行なうようにするべきである。このようなシステムを世間に公表することにより、技術に対する信頼を得ることができると考える。
 術前の患者・家族への説明も起こり得る合併症について十分納得して理解が得られるようにしておかなければならない。患者への侵襲が少ないために簡単な手術のように思われると、合併症が起こった時にだまされたと思うかもしれない。最近脳血管内手術後に発生した合併症に対する医療訴訟が増えているように思われる。(SF)

(No020;2004/05/14)

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