医療教育情報センター

No22 インフルエンザワクチンの副作用と高齢者

 2003年度の冬、新型肺炎(SARS)に対する不安から同時感染に備える人が、インフルエンザワクチンの接種に殺到し在庫不足騒動にもなった。全国で約3000万人が接種を受けたものと推定されている。6月、厚生労働省はワクチンの副作用が疑われる死亡例が9人あることを公表した。これは2001年度の4人、2002年度の5人に比較して2倍近い値である。死亡した9人は50‐90歳代で、接種との因果関係は確定されていない。厚労省はこれを受けて7月にも専門家の検討会を設置、新たな監視制度をつくるという。
 インフルエンザの予防接種は副作用が問題化し、一時、接種を受ける人が激減したが、高齢者施設で集団感染が相次ぎ、重症化を防ぐ効果が見直された。接種を受けるメリットが副作用の危険を上回るとして2001年の法改正で、65歳以上は一部公費助成する「勧奨接種」となった。副作用は発熱やじんましん、ショック症状などである。
 今回の死亡報告は全年齢層を含んでおり、ワクチン接種の絶対数の増加が、死亡数倍増の背景にあると考えられる。もともと高齢者は青壮年に比べて免疫力が低下しており、肺炎など感染症が死因につながりやすい。持病の心臓病などが感染をきっかけとして死因につながった可能性もある。副作用のモニタリングは必要であるが、今回の報告で高齢者の接種数が減少するようなことにならないようにしたいものである。(TI)

(No022;2004/06/25)


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