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メタボリックシンドローム

 メタボリックシンドロームという言葉がよく聞かれるようになった。メタボリックとは代謝の..という意味の形容詞であり、シンドロームは症候群と訳される。
 我が国の死亡統計では、悪性腫瘍(癌)が一位である。しかし脳血管障害と心血管病は別々のものとして扱われている。脳と心臓という別々の臓器なので、別に分類されているのであるが、いずれも主として動脈硬化を基盤として発生するものなので、この二つを合わせると、死因の第一位は血管病(主に動脈硬化)ということになる。第二次世界大戦後、日本人の食生活は欧米化し、飽食と運動不足によって栄養の過剰あるいは偏りの状態となっている。子供たちの血清コレステロール値の平均が、約10年間に約10mg上昇し、アメリカの同年代の若者の値を追い越したというデータが、既に十数年前に発表されている。当時の子供たちは既に青壮年に達している。
 食事内容と運動の不均衡から肥満傾向、動脈硬化、糖尿病等が惹起され、生活習慣病 と総称されている。動脈硬化に至る過程は本人には異常として気づかれず、日常生活を事無く過ごしている。しかし心臓を養っている冠動脈や脳を養っている動脈が突然閉塞すると、或る日心筋梗塞や脳梗塞(脳軟化)が突然起こるのである。この過程で生じる様々な変化をメタボリックシンドロームと呼ぶ。
 メタボリックシンドロームの診断基準が発表されている。
1. 内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積:ウエスト周囲径 男性 85cm以上
                               女性 90cm以上
2.1に加えて以下のうち2項目以上:
 (1)高トリグリセリド血症  150mg/dl 以上
          かつ/または
   低HDLコレステロール  40mg/dl 以下  (男女とも)
 (2)収縮期血圧      130mmHg  以上
          かつ/または
    拡張期血圧       85mmHg  以上
 (3)空腹時高血糖     110mg/dl  以上

 脂肪細胞は単に脂肪を貯蔵するばかりではなく、最近ではさまざまな生理活性物質を分泌し、糖尿病、動脈硬化、高血圧とも関係することが明らかになりつつある。この物質群をアデイポサイトカイン(アデイポは脂肪、サイトは細胞、カインは活性物質)と呼んでいる。(IS)                              

(No23;2005/10/03)

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