医療教育情報センター

No24 「混合医療」論議の意味するもの

 最近、新聞紙上にたびたび「混合医療」という言葉がでてくる。政府が規制緩和の名のもとに導入をねらっている制度で、一見すると、保険と自費の両方を使い分けてより選択度の高い医療を供給する新しい医療形態であるように思えるが、実はわが国の公的医療保険制度を崩壊せしめかねない危険な内容をはらんでいる。
 混合医療とは、患者が保険適用の医療と保険とは関係のない自費(私費)による医療を同時に受けることを認めようとする制度のことである。日本の保険医療機関では、特定の高度医療や医療サービスなどを除いては、保険診療と自費診療をまぜこぜにして行うことはできない(混合医療の禁止)。特定の医療サービスとは、(保険では支払われない)高度先進医療、差額ベッド、予約診療、時間外診療、金属床の総入れ歯などで、患者がこれらを望んで選択した場合はこの部分は自費で払い、その他の保険でみることのできる基本的部分(診察、検査、投薬、入院料等)のみは「特定療養費」として保険が適用される。これらの医療サービスは、将来は保険に取り込むことを前提に一時的措置と位置づけられている。
 このような制限を撤廃して、必要な費用のうち保険で認められていない部分は自費で払えばよい、すなわち保険支払いと自費支払いを混合して受療できるようにする「混合診療の解禁」が規制緩和推進関係者から提議され、医師や医療提供団体との間で激しい対立となっている。政府の規制改革・民間開放推進会議官製市場民間開放委員会は、自由診療を望む患者の利益に反する、最新の医療技術の開発や医療分野の自由な競争を阻害する、などの理由で混合診療を解禁すべきだと主張する。しかし、日本医師会や病院関係団体などは、自費負担比率が増大する、所得差による医療格差が拡大し弱者切り捨てにつながる、日本の誇るべき医療保険制度が崩壊する、などとして猛反対している。
 医療技術の進歩や多様化する国民ニーズへの対応は必然的に医療費の高騰につながる。財源に限界がある中で平等で良質な医療の提供を保障している日本の国民皆保険制度をどう維持するのかは、混合診療解禁では決して解決されない。混合診療解禁も企業の医療参入問題も、国民一人一人の医療を根本から変えてしまうに大問題である。
 問題であるので、注目が怠れない。(RT)

(No024;2004/07/16)


戻る