医療教育情報センター

芸術療法(アートセラピー)

 2004年10月に京都国際会議場で開催された国際アルツハイマー病協会第20回国際会議京都・2004で注目を引いたのはアルツハイマー病患者本人が世界各国から参加して、演題を発表し、自分の意見を述べていたことである。また、日本からの参加者は自分のことについて話をしたなかでアートセラピーを受けていることを述べ、同じ会議場内で「アートセラピーの12ヶ月」と題した展示が行われて大勢の人が足を運んでいた。
 ここで紹介されていた「臨床美術」(クリニカルアート)は1995年に彫刻家金子健二氏、脳神経外科木村伸医師、カウンセラー関根一夫氏により考案されたもので、医師、アーティスト、ファミリーケア・アドバイザーによる痴呆治療としてのアートセラピーである。
 2002年3月に造形美術療法協会が設立され、同年10月には日本臨床美術協会(NPO)と名称を変え、独自の協会認定資格をつくっている。臨床美術は脳活性化を促す独自のカリキュラムにそって、創作活動を楽しみながら行うことにより認知症症状の改善を目指すものであり、臨床美術士(クリニカルアーテイスト)は脳研究・治療の専門医、経験豊かなカウンセラーとともに認知症予防、そして治療、改善を行う仕事をするとされている。
 芸術療法(アートテラピー)は人間の表現活動や創造行為、いわば芸術的なあらゆる分野の所産をそれぞれまとめ上げ、それらを心身のケア並びに治療に役立てる試みがなされてきて、このような治療法を芸術療法と呼ばれている。精神科医療の中ではかなり以前から絵画療法が治療の中に取り入れられていて、日本芸術療法学会は1969年に設立され、2005年11月には第37回日本芸術療法学会が京都で開催されることになっている。
 芸術療法学会に統合されている療法の種類としては、絵画、音楽、詩歌(俳句、連句)、文芸、ダンス、箱庭、心理劇、陶芸、園芸などがある。
 芸術療法学会でも2004年より芸術療法士の認定登録をはじめているが、医療や介護の分野にこのような療法が導入され、それを実施する専門職がいることは必要であるが、治療を受ける人からみると臨床美術も芸術療法もやろうとしていることは同じよう思われるので、なるべくひとつにするべきではないだろうか。(SF)                 

(No24;2005/11/14)

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