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薬剤溶出性「ステント(stent)」術 −冠動脈硬化症(内腔狭窄)の新しい治療法

 「ステント」という外国語のまま一般に使われている。ステントという言葉の基は「植皮を固定するために用いる鋳型」のことであるという。あるいはステント化合物(高度に固化する合成樹脂様物質で、歯科で歯の鋳型を採るために用いる)に採った鋳型のことである。
 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)は、心臓に酸素やエネルギー源を供給している冠動脈に動脈硬化を基盤とする病変が起こって、その冠動脈の壁が一部厚くなり、内腔が狭窄・閉塞することによって発症する。その冠動脈に細いカテーテルを通して造影剤を流し、X線映画(シネ血管造影)を撮ることができる。冠動脈の狭窄・閉塞が見つかった場合、薬による内科的治療の他に、外科的なバイパス手術も行われている。さらにカテーテルの先端にバルーン(風船〕をつけて、これを膨らませることにより、動脈の内腔を拡げたり、微小な刃で動脈硬化巣を削り取ったりする技術も生まれた。その後、さらにカテーテルを通じて動脈の狭窄部に金網のようなものを入れて内腔を広げる技術も生まれた。これを「ステント」と呼んでいる。
 しかし、折角バイパスをつくったり、経カテーテル的にいろいろな方法で動脈の内腔を拡げても、その場所に血栓ができたり、細胞の増殖が起こって、後になって再び狭窄を起こしてしまうこともある。そこで開発されたのがステントに、血栓や細胞増殖を防ぐ薬剤を塗布しておき、それが徐々に血液中に溶け出し、血栓や再狭窄を防止しようとするものである。(IS)                 

(No26;2006/02/10)

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