医療教育情報センター

No29 ES細胞

 ES細胞はEmbryonic Stem cell(胚性幹細胞)の略で、卵が分裂する初期段階では、どの細胞にも分化可能な細胞があり、「万能細胞」とも言う。その細胞の分化を抑えて増殖させたものがES細胞である。1981年に英国のエヴァンス、カウフマンによってマウスの胚から作ることに成功し、1998年に米国でヒトのES細胞株を作り、2003年には京都大学再生医科学研究所でヒトES細胞株を作ることに成功した。ヒトのES細胞株をつくるためには、母体に戻せば胎児に成長する可能性のある初期胚を使う必要があり、倫理的問題もあるが、2004年7月23日の政府の総合科学技術会議本会議で、「ヒトクローン胚研究」を条件付で解禁することが決定された。
 ES細胞を使った治療法としてはパーキンソン病の治療のために脳内にドーパミン産生細胞を移植すること、脊髄損傷などで壊死になった神経繊維を修復させること、心筋梗塞で壊死になった心筋細胞を修復することなど、いろいろな実験が試みられ、臨床試験も行われているものもある。
 さらに現在の移植医療では脳死患者からの提供臓器が少なく、移植を希望する患者の多くは、移植を受けられずに亡くなっている。将来的には必要な臓器をES細胞株から作ることができ、さらにクローン胚からのES細胞株から作ることができれば、免疫抑制剤不要の移植臓器が用意できることになるかも知れない。(SF)

(No029;2004/10/04)


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