医療教育情報センター

動脈硬化の臓器別差異 −動脈硬化の強さは部位によって異なる


 生活習慣病についての報道番組は極めて多い。生活習慣病の主なものは動脈硬化症である。動脈硬化は高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙、肥満などが挙げられ、更に加齢や精神的ストレスなどによる影響も指摘されている。これらの成因は、大動脈、冠動脈(心臓の筋肉を養っている)、脳動脈、下肢動脈、腎動脈など総ての動脈の動脈硬化に関わっている。しかし動脈硬化症に関わる多くの解説を見ると、それぞれの動脈の障害(主に閉塞)によって発生する結果としての臓器の病気(大動脈瘤、心筋梗塞、脳梗塞、下肢壊疽、腎硬化症など)についての説明はあるが、動脈硬化の成因については総ての動脈について普遍的、総論的に解説されている。
 動脈硬化の初期変化(これは病気とは言えない)は若年者にも見られる。血管の病気以外の病気で亡くなった若い人たちの病理解剖例で動脈を調べると、大動脈硬化の程度は加齢、血圧、血清コレステロ−ルの順で影響し、冠動脈硬化の強さは血清コレステロール、血圧、加齢の順番であり、脳動脈硬化は血圧、血清コレステロール、加齢の順であった。若い人たちの剖検例であるので、糖尿病に関しての調査は出来ていない。精神的ストレスの関わりもよく言われているが、この科学的証明は難しい。しかし精神的ストレスが自律神経系に作用して冠動脈の機能的収縮を起こすことがある。物事を計画通り、効率的に処理する完全主義者や几帳面な人に心筋梗塞が多いと言われているし、自律神経の働きが変わる明け方に心臓発作の発生が多いのは、間接的にこのことを証明している。
 動脈硬化は一方的に進行するものではなく、軽快し得ることは、動物実験でも人間でも証明されている。一般によく解説されているような、適度の運動、朗らかな生活、禁煙、適切な食事内容、血圧や血糖のコントロールなどは、今からでも遅くないのである。(IS)                 

(No30;2006/07/07)

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