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終末期医療に関するガイドライン


 終末期における延命治療をどのようにするかという問題について、厚生労働省は国として初の指針(ガイドライン)案をまとめて発表した。終末期医療に関するガイドラインは、今年3月に富山県射水市の市民病院で、末期がん患者の人工呼吸器を外して死亡させた事件を契機として、川崎厚労相がその作成を急ぐよう求めていたものである。
 この案によると、まず「終末期医療のあり方」として、医学的妥当性と適切性を基に患者本人の意思を前提として、多くの医療関係専門職の人たちから成る医療チームによって慎重に検討、判断するべきであるとしている。
 また「いかな場合であっても積極的安楽死や自殺幇助など死を目的とした行為は認められない」としている。
 具体的には終末期医療の方針の決定手続きとして、(1)患者の意思が確認できる場合、(2)患者の意思が確認できない場合、の二つに分けて論じている。前者の場合には、インフォームドコンセントに基づく患者の意思を尊重して医療チームで対応し、患者の意思決定の内容は文書にしておくこととしている。また時間の経過とともに、患者の意思の変ることも予想して、ときどき再確認が必要であるとしている。
 患者の意思が確認できない場合には、家族等の話から患者の意思が推定できる場合は、推定意思を尊重して、患者にとって最善の治療方針を選択する。患者の意思が推定できない場合は、家族等の助言を参考にして患者にとって最善の方針を採用するとしている。さらに家族の中で意思がまとまらないときは、医療チームで十分検討して判断する。
 さらに多専門職種から成る委員会の設置が必要であるとしているが、そこでは医療チームで方針決定が困難であった場合に検討、助言を行うという。
 これまで延命治療中止など、個々の医療行為の是非については、主治医の判断に任されていたことが少なくなかった。そこに現場の主治医の悩み、迷いがあったことも事実であった。それだけに今回の厚労省のガイドライン(案)作成は評価できるが、内容的にはさらに議論が必要な部分も多い。
 同省では平成19年3月31日までに関係者や国民の意見を広く募集して、近く有識者から成る検討会を設置して成案をまとめるという。(NH)                 

(No32;2006/09/29)

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