医療教育情報センター

急性冠症候群と新しい技術:血管内エコー


 不安定狭心症unstable anginaや切迫心筋梗塞impending myocardial infarctionという医学上の病名は、一般にはその内容はよく理解されていない。これらの名前で呼ばれる病態は急性心筋梗塞や突然死の前兆であることがある。いま、現在は心筋梗塞ではなく、慢性に経過する安定した状態の狭心症でもなく、近い将来、急性心筋梗塞の発症を予知させるものなので、迅速に対応せねばならない。
 この不安定狭心症、切迫心筋梗塞そして急性心筋梗塞が突然起こるのは、心筋を養っている冠動脈の粥状動脈硬化巣に破綻(プラーク破綻という)が生じ、そのためにそこで血栓が形成されて、冠動脈の内腔が閉塞して発生する事が明らかとなった。このほかに動脈硬化巣そのものの中に出血が起こることもある。そこで不安定狭心症、切迫心筋梗塞および極めて急性の心筋梗塞を急性冠症候群と呼ぶようになった。
 冠動脈病変を評価する技術が進歩して、破裂を起こす可能性の高い粥状動脈硬化巣(プラーク)を診断できるようになって来た。冠動脈造影法(coronary angiography)は血管内に入れる造影剤によって映し出される血管内腔の陰影を観ているものであって、動脈の壁の中の状況を観察できるわけではない。動脈の壁の状況を観察するのに適した技術が開発されている。それは血管内エコー(超音波)(intravascular ultrasound, IVUS)である。動脈内に挿入したカテーテルの先端に高周波超音波探蝕子が装着されてあり、超音波の反応を捉えて動脈の壁の中の変化を可視化するものである。
 動脈硬化巣が破綻し易いものは、超音波図上、低輝度で偏心性のものそして石灰化が無いか軽度のもので、これらは硬化巣(プラーク)の中に豊富な脂質の芯を持つ、いわゆる“軟らかいプラーク”と呼ばれている。(IS)                 

(No34;2006/11/24)

新しい診療理念・バックナンバー