No42 知ってもらいたい医学用語の基本(2)変性と壊死そしてアポトーシス

 変性と壊死を合わせて退行性変化と呼ぶ。これは生きている細胞や組織が病的な方向に進んでいる状態のことである。原因は何であってもかまわない。変性とは、原因となるものが無くなればその細胞や組織は元の元気な状態に戻れる変化を言う。壊死とは、細胞や組織即ち生きている個体の中の一部分のみが死んでいる状態で、原因が去ってもその細胞や組織は元の状態に戻ることはない。現象としては変性の場合、細胞の中に存在するある物質が異常に増えて過剰な状態になったり、正常では存在しない物質が蓄積する代謝過程の病的な状態である。もし変性を起こす原因が存在し続ければ細胞は壊死に陥ることになる。
 変性には多くの種類がある。ある種のタンパク質が異常に蓄積すれば、タンパク変性と呼び、脂肪が蓄積すれば、脂肪変性と呼ぶ。例えばアルコール摂取が過剰な時、脂肪肝になると言われているが、そのときには肝細胞に中性脂肪が蓄積した脂肪変性が起こっているのである。
 壊死は細胞や組織あるいは臓器の一部が死んでしまう状態である。壊死に陥るには、多くの原因がある。そのうち動脈が動脈硬化症や血栓(血管中で血液が固まる状態)で閉塞すると、それより末梢に酸素を持った血液が流れなくなって、臓器の一部が壊死に陥ることがある。このような壊死を梗塞と呼ぶ、心筋梗塞は心臓の壁(多くは筋肉)を養っている冠動脈の閉塞で引き起こされる。脳梗塞(脳軟化)は脳を養っている動脈の閉塞で起こる病気である。脳組織は壊死に落ちると軟らかくなり、ついには液状となる。それで、脳梗塞のことを脳軟化とも呼ぶ。
 アポトーシスという新しい概念がある。生きている細胞にはそれぞれが宿命的に寿命が定められている。寿命の長さは細胞によって異なる。血液の細胞はの寿命は比較的短く、われわれが今持っている血液細胞は赤ん坊のときに持っていたものとは異なり、入れ替わっているものである。ところが脳の神経細胞はそうではない、脳細胞が入れ替わってしまったら、記憶が途絶えてしまうであろう。このような細胞の決められた寿命、言い換えれば細胞が天寿を全うして死ぬことをアポトーシスと呼ぶ。アポトーシスを「遺伝子にプログラムされている細胞死」とも呼んでいる。

(No035n;2005/01/28) IS