医療教育情報センター

No36 ノロウイルス胃腸炎
       

 広島県福山市の老人ホームでノロウイルスによる急性胃腸炎により老人が死亡する事件が報道され世間の注目をあびている。ノロウイルスは1968年に米国オハイオ州ノーウオークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便から検出されたウイルスで、電子顕微鏡でみると小型球状ウイルス(small round structured virus;
SRSV)の一種と考えられ、2002年の国際ウイルス学会でノロウイルスと命名された。
 このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、汚染された貝類(かきなど)を生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合と、感染した調理人の料理を食べた場合と患者のふん便や吐物から二次的に感染する。
 潜伏期間は24〜48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度であり、通常、これらの症状が1〜2日続いて良くなる。高齢者で脱水症状があればそのために命取りになりかねないので点滴注射が必要となるが、このウイルスに効果のある薬剤はない。
 施設などでノロウイルス感染が疑われる場合には介護者は吐物やふん便を処理するときは使い捨ての手袋を着用して直接手に触らないようにして、処理後の手洗い、消毒を徹底しなければならない。消毒はアルコールでは十分でなく塩素系の消毒液が有効とされ、ノロウイルスは熱には弱く、85℃の熱湯1分間で不活性化できるとされている。  これまでの集団発生の報告はウイルスに汚染された食事を介して発症する食中毒、あるいは施設内で利用者または職員が感染してそれが蔓延することが報告されている。平成17年1月12日の厚生労働省健康局結核感染症課の発表では、今冬の感染性胃腸炎の集団発生事例(把握分)は全国で236施設、感染者数7821人でノロウイルスが検出された者は5371人で、死亡者数が12人であるという。 (SF)

(No036;2005/02/25)


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