医療教育情報センター

No38 へき地で学ぶ研修医が倍増
       

  医師の臨床研修は、従来は努力目標だったため、1つの診療科だけで研修を終える医師も多く、「基本的な診療技術が身に付かず、医療事故の一因となっている」との批判があった。そのため医師の資質向上を目指して2004年度から義務化された。
 新制度では医師免許取得後の2年間、ありふれた病気や救急の初期診療ができるプライマリーケアの習得を目指し、内科、外科、救急・麻酔科、小児科、精神科、産婦人科、地域医療の7分野で研修する。かつては研修医の約7割が大学病院に集中していたが、2005年度は大学病院と一般病院の割合がほぼ半々となる。
 厚生労働省の集計によると、医師が不足している医療過疎地で臨床研修をする医師が増え、2005年度は2年前に比べ倍増していることが分かった。具体的には、人口10万人に対して医師が100人未満しかいない医療圏では2003年度の12人より32人に、医師数が100人以上140人未満の医療圏は351人より705人に増えた。研修病院の指定基準を緩和し中小病院に門戸を開いたことと、「都会の大病院より、住民に身近な施設でプライマリーケアを学びたい医学生が増えたため」と厚労省は分析している。
 本年3月、NHKスペシャルで、初めて患者と向きあう研修医の姿が放映された。地域医療で知られている佐久総合病院(長野県)に全国各地から集まってきた研修医15人を約1年間密着取材した記録である。研修医たちは、苦しむ患者を直視する事の厳しさ、理想の医療を実現することの大変さを知り、「患者のための医療とは何なのか?」と自問自答を繰り返すようになっていく。
 番組では、いま医師に何が求められているのかを問いかけていたが、国民も医療に限界があることを知り有効に活用することが求められている。高齢社会を迎えた現在、延命につながる医療だけでなく、患者の価値観やQOLを重視した医療も重要といえる。(TI)

(No038;2005/04/01)


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