医療教育情報センター

No41 WONCA(世界一般医・家庭医学会 アジア太平洋学術会議2005年)
       

 WONCAとは、世界のプライマリ・ケア医学をめざす一般医・家庭医が属する学会で、the World Organization of National Colleges, Academies and Academic Associations of General Practitioners/Family Physicians)の略称であるが、通称、World Organization of Family Doctors(世界家庭医機構)と呼ばれている。
 WONCAは専門分化する先進医療を統合し、患者を全人的にみる医療を目指すと共に、一般医が生涯学習によって自らの専門性を高める取り組みとして1972年に発足した。現在では、56ヵ国の実地医家の代表的学術組織65学会(総会員数:約15万人)、維持会員は84ヵ国1,520名に及ぶ。
 WONCAは、アジア・太平洋地区、ヨーロッパ地区、アメリカ地区、アフリカ地区、中東・南アジア地区の5地区に分かれ、我が国はアジア・太平洋地区に所属している。地区大会は3年毎に開催される世界大会の合間を縫って開催されており、アジア太平洋学術会議は本年5月27日から31日までの5日間、京都国際会議場で開催された。
 我が国でプライマリ・ケアに関連する学会は、日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会があるが、日本プライマリ・ケア学会がWONCAに加盟しており、今回の地区大会は同学会が主催した。3学会は、この期間中に同会議場で本年度の学術会議を同時に開催した。
 3学会はそれぞれ特色を有するが、専門細分化、身体面の偏重、研究の重視など“病気中心の医療”から、患者のニーズに応じて精神・心理・社会的な問題にも目を向け、病んだ一人の人間を家庭や地域を含めて診る“病人中心の医療”を目指している点では共通している。
 周知のように、わが国はすでに高齢社会を迎え、急性重症疾患から生活習慣病を中心とする慢性軽症疾患への疾病構造の変化、患者の人権意識の高まりによる自己決定権の主張や医療訴訟の増加、医療費の高騰など、医療をめぐる諸問題が山積しており、従来の細分化された疾患中心の専門診療のみでは対応できなくなってきている。
 このような状況に対応するために、これまでプライマリ・ケアの必要性がいわれてきたが、一般に定着し実効をあげるに至っていない。その意味で今回の3学会の同時開催が3本の矢となる契機となり、我が国の医療発展のために寄与することが期待される。(TI)

(No041;2005/06/06)


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