医療教育情報センター

No44 石綿による肺がん
       

 石綿(アスベスト)による肺がんが大問題になっている。石綿は無機ケイ酸塩を含む極細の繊維状鉱物で、耐熱性に優れ断熱材やセメント、織布などの材料として戦前から広く使われてきた。1960年以降使用量が急増する一方で、じん肺(石綿肺)、中皮腫、肺がんを発症させることが知られ、石綿を取り扱う製造業や建設業などの職場では法律による環境対策や健康管理が行われてきた。なかでも中皮腫は胸膜や腹膜が分厚い膜に増殖するがんで、専門医でないと早期発見が困難である。今般急に社会問題になったのは、30年前後の潜伏期を経て中皮種と肺がんの患者や死者の報告が急増したことと、専門家の間では従前から懸念されていた家庭内や地域環境の汚染が原因とみられる一般住民の発症が現実となったことなどによる。石綿は、その利便性から余りにも多くの職場や公共施設などの生活環境で用いられているために、使用禁止や設備改善などの措置の徹底が困難で、不十分なまま放置されていたことが今の事態を招いたといえる。抜本的対策は石綿を使用禁止にすることである。また、既使用分の除去または封じ込めること、吸入が疑われる人の医学的経過観察、患者や有所見者の治療等の措置、などが急務である。石綿を含むものが身近にあるからといって直ちに吸入したり害をもたらすことはないが、石綿を含む建設材等が経年劣化して剥離し、周辺に浮遊するような状態があれば注意を要する。心配な場合は医師や専門家に相談してほしい。今後開示される情報を冷静に理解して対応することが望まれれる。(RT)

(No044;2005/08/01)


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