No46 知ってもらいたい医学用語の基本 (4)循環障害 その2「側副循環と梗塞」

 動脈は木のように1本の幹から複数の枝が出ているものばかりではない。1本の幹から枝分かれした細い枝が、隣接する他の幹からの分枝と連結していることが多い。これを「吻合」と呼ぶ。吻合によって、1本の動脈が閉塞しても、隣の動脈から血液が流れてくることができる。これを「側副循環」という。吻合を持たない動脈、すなわち側副循環のない動脈は「終動脈」と呼ばれる。終動脈が閉塞すれば、その動脈を通して酸素や栄養素が供給されなくなり、その動脈の血液還流領域の組織は壊死に陥る。このように吻合の乏しい動脈が血栓や栓塞などによって内腔が閉塞することによって、還流領域が壊死に陥った状態を「梗塞」という。梗塞は動脈の閉塞した部位を頂点として、楔形となる。
 心臓を養っている冠状動脈が閉塞して生じるのは「心筋梗塞」であり、脳を還流している動脈が閉塞して生じるのが「脳梗塞」である。壊死になった組織が固形のままであれば、これを「凝固壊死」と呼び、融解して液化してゆけば、これを「融解(液化)壊死」と呼ぶ。凝固壊死は筋肉のように蛋白質の豊富な組織に見られ、融解壊死は脳や脂肪組織のように脂質の多い組織に起こる。脳はワックス(固形の脂質)が多いので融解壊死となる。梗塞部分は軟らかくなる。それで、脳梗塞のことを脳軟化とも呼んでいる。
 冠状動脈に対してバイパス手術が行われるのは、手術によって人工的に側副循環路を作っているのである。

(No046n;2005/08/26) IS