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子宮頸がんとヒトパピローマウイルス

 子宮がんには子宮体がんと子宮頚がんとがある。体がんは子宮体部にある子宮内膜の腺上皮から発生し、頚がんは、子宮の膣に近い頚部粘膜の上皮から発生する。閉経前の成人女性には月経周期があり、内膜の大部分は入れ替わるので、内膜がん(体部がん)は更年期以降に発生することが多い。これに対して頚部の粘膜は周期的に入れ替わらないので、頚部がんは若年者にも見られる。
 子宮がんの大部分は頚部がんである。子宮頚部は膣に向かって突出している部分があり、これを子宮膣部と呼ぶ。産婦人科医はこの膣部を直接観察することができるので、細胞診を含むがん健診を受ければ初期がんを発見できる。がんは表面を覆う上皮細胞から発生するので、この膣部を擦過して細胞を調べれば、がん細胞を見つけることができる。
 その細胞診を長年行なってきているうちに、がん細胞とは言えないけれども、正常細胞であるとも言えない異常な形態を示す細胞が注目されてきた。そのがん細胞でもない、正常でもない細胞を“異型細胞”と呼んでいたが、そのような細胞は核の周囲に明るい部分が存在していることに気付かれ、研究の結果、パピローマ(乳頭腫)ウイルスの感染があることが判明した。パピローマウイルスには多くの種類があるが、あるものは皮膚の“いぼ”(verruca vulgaris,verruca plana juvenilis, condyloma acuminatum など)の原因として既に知られていたものである。
 ヒトパピローマウイル16型と18型は子宮頚がんの約70%の原因になっていると言われている。これらのことを基盤として、パピローマウイルスに対する予防ワクチンが開発され、子宮頚がんの発症率を低下させることに有効であるとの研究報告が見られるようになっている。
 さらに、咽頭がんや食道がんの発生にもパピローマウイルスの関与が指摘され始めている。(IS)


子宮がん、パピローマウイルス、がん予防ワクチン、細胞診、異型細胞
(No047;2008/01/25)

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