医療教育情報センター

No48 医療事故と医療訴訟        

 高度な医療を担うと認定された82の特定機能病院(大学附属病院と国立センター)で、2000年4月から2002年2月までの間に、病院内の安全管理委員会に報告された医療事故数が計1万5千例を超え、このうち387例が抗がん剤の投与量を誤ったり手術時のガーゼ置き忘れなど重篤な事例であった。
 厚生労働省は医療事故の再発防止のため、2004年10月から大学病院や国立病院、自治体病院や民間総合病院など533の中核病院を対象に事故報告制度を始めたが、今年3月末までの半年間に全国で83件の死亡事故が起きていたことが分かった。手術で異物が体内に残ったような重大事故を合わせると533件になる。
 医療事故の増加に伴って、医療訴訟の件数も確実に増えている。最高裁判所によると、1993年440件、1994年506件、2003年990件、2004年1107件と10年間で倍以上になっている。 医療事故の原因は、医療技術の未熟さやスタッフの不足から生ずる過労が多いが、うっかりミスもある。医療従事者は事故が起きないように真剣に努力しなければならないが、リスクを伴う検査や治療も多く、事故を皆無にすることは不可能である。
 豊田商事破産管財人など弁護士としての活動で有名な中坊公平氏は、医療は治療を行うことが目的である委任契約であるにもかかわらず、治すことが目的である請負契約であるという誤った認識を国民のみならず医者ももっていると述べている。医師の説明義務は当然として、国民も医療の限界とリスクを承知して医療を受ける必要がある。(TI)

(No048;2005/10/24)


戻る