医療教育情報センター

No50 PBL(問題基盤型学習)        

 医学の進歩は目覚しく、医学生が卒業するまでに学習しなければならない医学知識は莫大な量となり、しかも卒業する時点で修得した知識はすでに古くなっていることもあると言われている。医療の現場では医学以外の問題も多く抱えた患者の治療に当るためには医師単独では対応出来ない場面が多くあり、医療スタッフ以外のコワーカーを含めたチーム医療の必要性が指摘されている。このような状況の中で患者の抱える問題を解決するためには従来の講義中心の医学教育では対応できなくなり、1976年カナダに新設されたマックマスター大学では新しい学習方式としてPBL(problem based learning)(問題基盤型学習)が開発され、それが次第に世界各地に広がった。米国のハーバード大学では1985年よりnew pathwayを学生の半分に実施して良い方法であることがわかると、1987年からは全学生に実施するようになった。日本では東京女子医大が1990年代からPBLチュートリアルとしてカリキュラムに取り入れるようになった。
 2005年7月に東京大学で開催された日本医学教育学会で東京大学に2000年に客員教授として在籍され医学教育カリキュラムの改革に取り組まれた元ハーバード大学イヌイ教授が特別講演で、どのようにして新しいカリキュラムに変えたかを話された。また、一般演題では実際に新しく取り入れられたEBM(根拠の基づいた医療)の授業の成果が発表されていた。2005年11月に東京女子医大で開催された日本生命倫理学会では東京女子医大学生と早稲田大学人間科学部学生を対象とした生命倫理の合同授業の様子が実況放映された。ビデオでカナダの事例が紹介され、それを見て学生はその事例の問題点を書き出し、代表が全体の前で紹介し意見が述べられると言う形式で、それぞれの立場から問題が指摘され、そのあと医学生から意見がのべられた。今回の授業では学生同士の討議が少なかったのは気になったが、コメントとして将来のチーム医療の重要な一員である看護学生を一緒に討議に加えるべきでないかという発言があった。
 日本の各大学医学部、医科大学でもPBLを取り入れている所が増えてきているようだが、学生時代から患者の抱える問題を単に医学的問題だけでなく患者を取り巻く家族、社会の問題まで配慮することを考えることが望まれる。学生は生命倫理的問題の討議に積極的に参加して相手の意見もよく聞くことが求められる。(SF) 

(No050;2005/12/02)


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