医療教育情報センター

No53 高齢者虐待防止法        

  日本は、高齢者虐待の対策が進んでいる欧米に比べて30年遅れていると言われているが、2005年11月9日に高齢者虐待防止法が公布され、2006年4月1日より施行されることになった。
 幼児に対する虐待が社会問題となったあと、2000年5月24日児童虐待防止法が公布され、同年11月20日から施行された。けがをして受診した児童を診療した医師は、皮膚に「あざ」があったり、「やけど」が多数みられたり、多発性の骨折があったりして、虐待が疑われる時には届け出ることが義務付けられるようになった。
 1987年に金子善彦著「老人虐待」が出版され、高齢者に対する虐待が社会的にも関心が持たれ、マスコミでも報道される事が多くなり、2004年には厚生労働省の委託を受けて医療経済研究機構が実施した、家庭内の高齢者虐待に関する実態調査の結果が発表され、実態が明らかにされた。
 高齢者虐待防止法は、高齢者の尊厳を保ち、虐待を受けないようにすることを目的として制定され、法律では虐待として養護者および高齢者施設の職員がその養護する高齢者について行う次の行為を挙げている。
  1. 高齢者の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること
    (身体的虐待)
  2. 高齢者に食事を与えない、排泄処理を放置したままにする
    (介護を著しく怠る虐待)
  3. 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他高齢者に著しい心理
    的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)
  4. 高齢者にわいせつな行為をすること、又は高齢者をしてわいせつな行為をさせる
    こと(性的虐待)
  5. 高齢者の財産を不当に処分すること、その他当該高齢者から不当に財産上の利
    益を得ること(経済的虐待)
 これらの虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに市町村に通報することになっていて、市町村は届出を受けたときは、安全を確保するために高齢者の居室を確保し、立入調査、場合によって警察に援助要請ができることになっている。
 また高齢者虐待は介護をしている家族の疲れなどから行われることが多いことから、市町村が介護者への支援として、介護者の負担を軽減するために、介護者に対する相談、指導、助言などを積極的に行っていくことが定められている。
 高齢・少子化社会になった日本では高齢者のための施設は種々のものが作られ、介護保険も平成12年から実施されているが、高齢者の受ける介護も多様化して、提供されるケアの質に関しても一様ではない。中には施設で高齢者に対する虐待が行われていることが報道されることもある。この法律は家庭内で高齢者の世話をする家族その他の介護者や施設における虐待を防止しようとするものである。(SF) 

(No053;2006/02/24)


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