医療教育情報センター

No54 「宅老所」から発展した「小規模多機能型居宅介護」        

 2000年に始まった介護保険制度が、5年間の実績に基づいて全面的な見直しがなされ、本年4月から大幅に改定され施行される。改定の特徴は、予防重視、医療との連携、介護施設の機能分担、在宅介護の重視、中・重度者への支援を強化する内容である。
 新しく導入される「小規模多機能型居宅介護」は中重度の要介護のお年寄りが可能な限り住み慣れた自宅や地域で生活することを目的とする。お年寄りが日中集まる「通い」を中心にして「泊まり」や訪問介護のサービスを提供する。
 グループホームが自宅に代わって「住む」ことを目的にしているのに対し、小規模多機能型居宅介護は自宅での生活を支え、住み続けるのを前提にしている点が異なっている。これまで民家などでデイサービスを中心に、宿泊、訪問介護など小規模な高齢者介護を行ってきた「宅老所」が制度化されたものと考えると分かりやすい。
 甘利てる代氏は、宅老所の先駆的役割を果たした人たちと施設を紹介している(私も入りたい老人ホーム』、NHK出版)。施設の創始者は、施設や制度下の介護にあきたらず、在宅のまま介護を受けたい利用者のニーズに応じた介護を目指した。はじめは1人でスタートし、自費負担を基本とするため私財を投じたり採算を度外視した。そしてデイサービスから、ショートステイ、入所へと発展していったのである。素晴らしいのは、「介護してあげる」ではなしに、利用者に寄り添う形でされていることである。
 介護は手当てが原点であり、施設や介護保険制度などのハード面よりも、利用者一人ひとりにあわせた介護と介護者の生きがいに通ずるソフト面が重要である。その意味で、介護保険改正が費用を削減するのが主目的になっては主客転倒である。優秀な人材が介護を目指し、正当に評価されるような施策が求められる。 (TI)

(No054;2006/03/24)


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