医療教育情報センター

No56 医療ミスによる医業停止        

 医療事故で医師の行った行為に過失責任があると認定されると、業務上過失傷害或いは致死として刑事措置を受け、民事的には損害賠償が求められ、さらに行政的にも処分を受けることになる。
 厚生労働省は2006年3月1日に医道審議会の答申を受けて医師34人、歯科医師24人の計8人の行政処分を発表した。この数は最近10年間では最多となっているが、諮問を受けたのは72人で14人は行政処分に至らず戒告にとどまっている。
 今回の処分の中には医療ミスで刑事責任を問われた医師が9人、民事訴訟で敗訴した医師が1人いた。これまで厚生労働省は刑事事件化した医師に限られていた処分を2002年から民事の医療事故も行政処分の対象とする方針に変更したが、民事事件の場合は事実認定が困難であるために、これまでに富士見産婦人科事件で下された1件だけであった。
 業務上過失致死(1例は過失傷害)のために医業停止の処分を受ける期間は2年が2人、1年が6人、6ヶ月が2人であった。過失とされた行為別にみると、手技が未熟であったと思われるものが5件(心カテ2、内視鏡1、麻酔1、注入1)、専門的知識の不足によると考えられるものが2件(抗癌剤1、中心静脈栄養1)、不適切な指示により誤った薬剤投与が行われたものが3件(キシロカイン2、コンクライトP1)であった。処分を受けた医師の所属は大学病院3人(国立大学1、私立大学2)、公立病院3(国立1、市立1、共済1)、私立病院3、個人医院1となっている。
 ここで問題となるのは行政処分を受けた医師の業務停止期間中の処遇はどうなるのかということだが、処分を受けた過失の内容が、手技の未熟や専門的知識不足によるのであり、医業停止期間は医療を行うことができないので、その期間に何らかの再教育を行うべきであると考えられている。(SF)

 

(No056;2006/05/15)


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