医療教育情報センター

No57 行政処分を受けた医師に対する再教育のための指導者研修会        

 行政処分を受けた医師を再教育するための指導者の講習会が始めて開催された。前回のこのホームページにも紹介されたように、医道審議会医道分科会は、行政処分を受けた医師に対して再教育を行うことの必要性を指摘し(平成16年3月)、これを受けて再教育のための具体的な検討が行われて報告書が発表された(平成17年4月)。また同時に医師の行政処分のあり方そのものについての検討も行われて報告された(平成17年12月)。
 わが国では、これまで行政処分を受けた医師に対する再教育の制度はなく、行政処分としての医業停止期間を過ぎれば特別の条件なく再び医業に復帰していたため、一般社会からの厳しい批判があった。
 こういった状況からこのたび厚労省では、行政処分を受けた医師に対して再教育を義務づけることが必要であるとし、再教育を行うための指導者(助言指導者と命名)の養成を行うことが提案された。そこでまづモデル事業として、行政処分を受けた医師に対する再教育を行う助言指導者のあり方を検討し、再教育のための基本的プログラムを立案するための研修会が実施された。
 日時は平成18年3月11日(土)、12日(日)の2日間、場所は国立保健医療科学院、方法は合宿形式によるワークショップで行われた。参加者は、日本医師会および都道府県医師会から推薦された医師で、日頃から医療事故防止、医事紛争対策などを担当している方々であった。内容としてはまづ厚労省担当者から行政処分事例の実状が報告され、その現状を考察したとき、「何故そのようなことをしたと思うか」というテーマでグループ討論が行われた。続いて再教育のためのプログラムが立案された。テーマとしては処分内容で件数の多い@医療過誤(業務上過失致死傷)、A診療報酬不正請求 の二つを選び、それぞれ再教育の目標、方略、評価が作成された。
 第1日目の夜は「助言指導者のあり方」について21時まで活発な討論が行われた。
 終了後、参加者からの総合評価では、この研修会は「ためになった」、「この知識を地域で伝える」「今後もこうした活動に尽力する」といった結果が得られた。
 今回はあくまでも試行的研修会であったが、今後実際に行政処分を受けた医師の再教育を行う場合、こうした指導者を早急に養成することが必要である。それでなくても年々、行政処分を受ける医師の数は増加しているという。しかも診療報酬不正請求のように、医師の倫理面が強く問われる事例と、医療技術上の問題で処分を受けた事例とではでは再教育の内容は当然異なる。こうした点を十分議論しながら行政処分を受けた医師に対する再教育を行うことが必要である。(NH)
 

(No057;2006/05/26)


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