医療教育情報センター

「睡眠と生活習慣病」

 不眠と睡眠不足とは異なる。不眠は、寝つけない、夜中に目が覚めてしまうということで、昔から言われているようにお年寄りに多い。睡眠不足は若い人に多い。生理的には眠くなるし、眠れるのに夜遅くまで仕事をする或いは夜遊びをするなど、無理に夜更かしをして、睡眠不足となる。
 日本大学の内山教授によると、不眠に一番関係するのは高齢だそうである。以下、自分の健康に不安がある、ストレスをもっている、ストレスに対処するのが下手、運動の習慣がないそして無職、の順だそうである。
 糖尿病患者さんの約3割は不眠を合併し、睡眠不足は血糖値を上げるが、十分に睡眠を取らせると血糖値は下がるという。睡眠時間が5時間未満の人は十分に睡眠を取っている人に比べて糖尿病の発症率は2倍半も高いという。糖尿病は生活習慣病の代表である。睡眠時間の短い人は肥満になり易く、肥満の人は睡眠時間が短いという悪循環があるという。睡眠時無呼吸症候群は肥満の人に多い。肥っている運転手が居眠り運転をすることがあるのは、睡眠時無呼吸症候群で眠りが浅く睡眠不足だから仕事中でも眠くなる。規則的な睡眠を取ることも生活習慣である。
 糖尿病も肥満も動脈硬化の危険因子であり、動脈硬化は狭心症・心筋梗塞、脳梗塞(脳軟化)、下肢の壊疽、大動脈瘤などを引き起こす。これらは太い動脈における病気だが、糖尿病では細い動脈にも病気が起こる。糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、末梢神経症、細菌感染に罹りやすい等である。
 人間は朝起きて働き、暗くなったら眠るというのが太古からの自然の姿である。人間の体は人工的な時計に命令されて調節されているのではない。人類発生以来、人間の体内時計は1日の間の移ろいを無意識のうちに感知し、ホルモンや自律神経の働きを調節して生きているのである。起きていれば交感神経優位となり血圧は上がる。寝ると副交感神経(迷走神経)優位となり血圧は下がる。「早寝早起きは三文の徳」は健康保持のためにも得なのである。しかし、だからと言って昼間も寝てばかりでは、それは怠け者であり、職の無い人と同じような精神状態となる。要するに規則正しく、生き甲斐のある生活を、と言うことであろう。(IS


睡眠 生活習慣病 睡眠時無呼吸症候群 自律神経 動脈硬化
(No057r;2008/12/19)

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