医療教育情報センター

No58 減らないがん死亡者数と「がん対策基本法案」        

 がんは昭和56年より死因の1位を続けている。最近、厚生労働省より公表された平成17年度の統計でも死者数 108万4千人に対して、がんによる死亡者数 32万6千人であり、むしろ増加傾向にある。まさに2人に1人がんになり、3人に1人がんでなくなる時代といえる。
 こうした背景を受け、与党と民主党は別個に「がん対策基本法案」を衆院に提出していたが、話し合いによって一本化し今国会で成立する見通しとなった。一本化を進めるにあたっては、民主党の山本孝史参院議員が参院本会議で、自らがん患者と告白。「がん治療には地域間格差、施設間格差があり、『がん難民』が日本列島をさまよっている」とがん対策の推進を訴えたことも大きい。
 合意案は、国や地方自治体に対し、〈1〉がん予防〈2〉がん検診の質向上〈3〉がん専門医の育成などを義務付けるとともに、厚生労働省にがん患者や遺族、医療従事者らでつくる「がん対策推進協議会」を設置することを盛り込んだ。
 がんの診療はがん検診による早期発見と、手術・抗がん剤治療・放射線治療の三大療法を柱としている。しかし、これだけでは限界があることはがんによる死亡者数が減らないことからも明かである。がんは、遺伝子病、生活習慣病、老化現象の一つであるとともに、ストレスによる影響が発症と経過に関係しており、心の病気でもある。
 その意味でがん対策は、身体的な病気としての面からだけでなく、がん患者の精神心理面や、がん患者を支える家族など社会的な面を含め総合的に対応する必要がある。(TI)

(No058;2006/06/09)


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