医療教育情報センター

グリーフ・ケア(悲嘆ケア)

 グリーフ・ケア(悲嘆ケア)は、愛する人との死別ないし、死別が予期される、ないし不本意な別離などによる悲嘆をケアすることである。即ち、病、災害、事故、犯罪の被害、テロ、戦争、死刑、自死(自殺)などで死別したり、重大な病などで死別が予期されたり、両親の離婚で面会交渉がない、失恋、失踪などで不本意に離別したなどで、大きな悲嘆に陥って、生き生きとした日常生活への回復が遅れていたり、回復しないなどの人を健康な悲嘆回復の過程へ戻そうとするケアである。
 従来は、宗教者、死生学の専門家、遺族グループなどがそのケアの任を担って来た。最近は悲嘆ケアの学問の進歩を還元しようと専門家による医療でのケアが始まっている(グリーフ・ケア外来)。即ち身体的基礎疾患の検索で基礎疾患がない場合は、カウンセリングなどの悲嘆ケアを中心に行う。基礎疾患がありそれが悲嘆に影響している場合は、その治療も本人の了解があれば悲嘆ケアとともに行う。
 精神的・心理的症状に対して薬物療法を行うこともある。うつ病やその他の原因による自死は、家族に大きな衝撃と悲嘆と周囲の偏見からの言葉による傷害、自責の念からの苦しみに苛まれることがある。自死の知らせを受けた時の衝撃や、自死の場面を目撃したときの衝撃から心的外傷後ストレス症候群に悩んでいる人もいる。
 長い年月介護し続けた人との死別から、生きがいの喪失に陥った人もいる。うつ症状が持続する人、愛する人の最期に心の準備が出来ていなかったことや診断の遅れが死の原因と考え医療者への恨みを訴える人、幼児期に親との死別や別離が自己愛や自信がもてないことの原因になっている人、事故死の原因に自分が責任あると考え自責の念と嘆きが晴れない人、長い苦労の末あっという間に死亡した家族に申し訳ない気持ちが晴れない人、など悲嘆の原因や環境因子によって千差万別である。
 個々の人の宗教的背景や死生観などに配慮して、個別のカウンセリングを行うことが必要だし、悲嘆ケアの原則に則って悲嘆を癒すこともまた重要です。将来このグリーフ・ケアは医療の世界でもますます重要性を増すことと思われる。あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに絶望しない。(SS



グリーフ・ケア 悲嘆ケア 死別 離別 外来
(No059r;2009/03/13)

新しい診療理念・バックナンバー