No60 看取り介護

 65歳以上の高齢者が人口の20%を超える超高齢者社会が目前に迫っている日本で、年間の死亡者数が100万人を越えるようになり、今後、高齢者の最後の看取りを誰がどこで行うか問題となってくると思われる。ガン末期の患者さんのターミナルケアは死の臨床研究会をはじめ専門の学会でも取り上げられ、1990年からは緩和ケア病棟入院料が診療報酬として認められている。
 2006年の診療報酬の改正には「自宅以外の多様な居住の場におけるターミナルケアの推進」の目的のために、「地域において、自宅以外にもケアハウス等の多様な居住の場が整備されてきており、このような多様な居住の場におけるターミナルケアを推進する観点から、訪問診療及び訪問看護の算定要件を緩和する」ということが記されている。これはガン末期の患者さんが、自分の住みなれた家で最後を迎えたいという希望をかなえる在宅での看取り、あるいはケアハウスや老人ホームででも看取りができるように診療報酬の面で整えられたことになる。
 介護保険の対象にガン末期患者が加えられ、さらに「看取り介護加算」が創設されて介護老人福祉施設において最期の看取りが行えるようになった。施設でこの加算をとるためには、看護師の夜間における24時間連絡体制の確保、看取りに関する指針の作成、施設職員への看取りに関する教育を実施し、家族からは「看取り介護同意書」を得るようになっている。
 看取り加算は1ヶ月を限度として認められることになっているが、実際に施設に入所している高齢者の終末期に余命1ヶ月の診断をすることは不可能に近いことである。全身衰弱が加わり、経口摂取もわずかとなり、発熱を繰り返すようになると、寿命の終わりが近いと考え、家族にそのことを説明して、全く食べられなくなったときに胃に管を入れて水分・栄養の補給をするのか、呼吸が止まった時に人工呼吸などの救命処置をするのか確認して、危篤状態になっても病院へは搬送しないということを家族が了承すれば施設で最後まで看取りをすることになる。
 特別養護老人ホームやグループホームでは夜間に看護師は勤務していないので、夜間勤務の介護士は看取りについて不安を示すことがあるが、家族にも、夜間に職員が巡回に行ったときに呼吸が止まっていることもあることを十分説明して納得を得ておかなければならない。施設における看取りに関しては、病院などの医療施設とは異なった介護での問題はあるが、在宅で家族が最後の看取りをするのと同じような考えでいればよいと考える。

(No060n;2006/07/21) SF