医療教育情報センター

冠動脈硬化症の評価方法

  1.冠動脈造影(CAG, Coronary Angio-Graphy)
 2.血管内超音波(IVUS, Intra-Vascular Ultra-Sound)
 3.血管内視鏡(Intravascular Endoscopy)

 心臓を養っている動脈を冠動脈という。冠動脈は太い本幹が心臓を囲むようにして表面に存在しており、その本幹から壁(大部分が筋肉)の中へ多数の枝を出して血液を供給する構造になっている。この動脈の構造・分布様式がヨーロッパの王様たちが被っていた冠に似ているので、その名前で呼ばれている。冠動脈は心臓の左室から続く大動脈の根本のところから直接分枝する。
 冠血管(動脈)造影法(CAG)は手や足の動脈からカテーテルを入れて大動脈を逆行させてこの冠動脈口からカテーテルを挿入するものである。カテーテルを通じて造影剤を流し込み、レントゲン写真を写すのがこの方法である。レントゲン像を映画で撮るのをシネ血管造影と呼ぶ。この方法だと、冠動脈の内腔が写しだされるので、それが狭くなっているか、閉じてしまっているのかを把握できる。しかし欠点もある。動脈を狭くしている動脈の壁の状態は分からないし、レントゲンは一方向から撮るので、レントゲン線の方向と直角の方向の動脈壁に病変があれば内腔は狭くなっているが、平行方向にある壁に病変があっても内腔の径が広ければその狭窄度を正確には評価できない。
 血管内超音波(IVUS, アイバス)は超音波を出し、返ってくるエコー(反響)を捉える装置がカテーテルの先端に付いているものである。ある程度動脈の壁の状態(例えば内膜が厚い、カルシウム沈着がある)を観察できるが、動脈のその部分の断面に限られ、冠動脈の全長を観察できない。(新しい診療理念034r 2006/11/24 「急性冠症候群と新しい技術:血管内エコー」参照
 血管内視鏡はカテーテルの先端にカメラ・レンズが付いていて、動脈の内面を直接観察できるものである。詳細な狭窄度は分からないし、観察している部位しか分からない。しかし動脈硬化巣の色調を見ることができる。
 (まとめ)冠動脈の硬化巣は内腔に向かって盛り上がっている。だから内腔狭窄が起こる。多くの症例を詳細に観察し、そのデータを集積した結果、動脈硬化巣に脂肪と壊死細胞の残骸が多いと、その硬化巣は破綻し易く、これを軟らかい硬化巣(soft plaque)と呼ぶ。脂肪が多いので黄色に見える。破綻するとそこで血液が凝固し血栓をつくり完全閉塞に至って急性心筋梗塞を起こす。動脈硬化巣の血管腔側の内膜に線維が多いとそれは硬い硬化巣(hard plaque)と呼び、破綻し難い。線維が多いと白く見える。血管内視鏡はこれらの鑑別に役立つ。  従って、動脈硬化の場所、狭窄の程度、そして軟らかいプラークか、硬いプラークかの区別が重要となり、そのためにはこれらの組み合わせによる検査・診断が有効であり、延いては適正な治療法の選択となる。(IS

参考:平山篤志他:動脈硬化病変とその診断・治療 
アステラス・スクエア 2009 5巻 3号:4頁

(No063r;2009/07/03)


血管造影 血管内超音波 血管内視鏡 冠動脈硬化 心筋梗塞

新しい診療理念・バックナンバー