医療教育情報センター

No69 東京都が「メディカルスクール」創設を検討        

 東京都は米国やカナダなどで設置されている医学教育機関であるメディカルスクールにならって4年制の医師養成をめざす専門職大学院「メディカルスクール」の創設に向け検討に入ることが報道された(朝日新聞・平成19年1月7日、産経新聞・平成18年12月20日)。それによると、都が参考にする米国型は、大学の医学部以外の卒業生や社会人を対象にした4年制の大学院で、研究よりも診療に比重を置き、現行制度より2年短い4年で医師国家試験が受けられるという。いったん社会に出てから改めて医師を志す人は、社会でのいろいろな体験と高い目的意識を有するから、知識偏重の受験戦争を勝ち抜いてきたエリートよりも、豊かな教養と社会性を備え、質の高い臨床医が期待されるというのである。
 確かに米国のメディカルスクール経験者の報告によると、入学者の半分近くは大学卒業後何らかの学生以外の活動を経てから入学してくる。医師になる動機づけが重要な選考基準となることから、国際協力や医療関連の仕事をして、志を固める人も少なくないという。わが国では、大学の医学部で規定のカリキュラムを最短6年間学ばなければ医師国家試験が受けられないから、実施には医師法などの改正が必要になるが、東京都では先行実施ができるよう、国に構造改革特区の申請を視野に入れて検討するという。
 すべていいことずくめのようであるが、実施には国民全体のコンセンサスを得る必要がある。現行制度でもその多くは立派な医師に育っている。また現在でも、医学部3年目から編入できる学士入学制度があるが、これとどう整合するのかも議論が必要である。
 肝腎なのは、人間が大好きで、研究者として科学に立脚した医学を専攻するよりも、臨床医になって人間の全体を診たい人に、年齢とか学歴に関係なく努力次第で医師になれる道をつくることであろう。(TI)

(No069;2007/01/26)

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