医療教育情報センター

自己調節鎮痛法(PCA)

 手術後やがんの痛みを自分でコントロールする自己調節鎮痛法が普及しはじめている。 患者自身による自己調節鎮痛法(Patient Controlled Analgesia PCA)は1971年にPechzer がオピオイドを使った術後鎮痛法を紹介し、1976年にEvans らが最初のPCA専用機器を開発した。
 実際の方法としては静脈内、硬膜外あるいは皮下に注射針を入れて固定し、特別に設計された注入器にセットした注射液を接続して、患者は痛みを感じた時にボタンを押すとあらかじめセットされた鎮痛薬の一定量が注入されるが、短時間に何回押しても設定された量以上の薬液は入らないようになっている。十分に説明すれば、3歳ぐらいの小児から老人までのあらゆる年齢層で実施可能といわれている。
 利点としては手術後あるいはがんの患者が痛みを感じた時に医療者を呼ばなくても自分で鎮痛薬を注射することができる。術後の患者は忙しい外科病棟で動き回っている看護師に遠慮しながら痛みを訴え、看護師は医師の指示を得て鎮痛薬をもらう必要がなくなり、痛みに対する感受性の高い患者や極度な肥満体で通常の薬の量では効果が十分でない人に対しても、患者自身で薬剤の量をコントロールできる。がん等による激しい疼痛も患者自身が痛みの程度に応じて、鎮痛薬の量をコントロールでき、痛みをとるのに必要な鎮痛薬の適量を知ることができるとともに、痛みが激しくなる前に鎮痛薬を使う「先制鎮痛」を行うことで、激しい痛みの記憶が残らないようにすることができる。
 しかし欠点としては常に注入器をつけた装置を身体に付けておかなければならず、患者は自由に行動できなくなり、長期間になると感染の危険性など合併症の可能性もあり、ある程度鎮痛ができれば、経口による鎮痛薬に変更する必要がある。(SF

(No070r;2010/03/12)


術後疼痛 癌性疼痛 先制鎮痛 鎮痛薬 自己調節

新しい診療理念・バックナンバー