医療教育情報センター

No71 後期高齢者医療(新しい医療保険制度)        

 高齢者に対する綜合的な保健医療・福祉施策として1963年に老人福祉法が制定され、すべての老年者の健康の保持と生活の安定を謳っている。1973年には老人福祉法の一部が改正されて、70歳以上の老年者の医療費自己負担分を無料とし、その分を国と地方自治体が負担する老人医療費支給制度がスタートした。老人医療費の無料化は、老人医療費の高騰をもたらし、国や自治体の財政を圧迫するようになり、1982年には老人保健法が制定され、壮年期以降の人々の健康の保持と適切な医療の確保が図られた。
 65歳以上の高齢者が総人口の20%を超える超高齢社会となった日本では、さらなる高齢者医療の改革が求められ、新たな高齢者医療制度の創設(平成20年4月)が検討され、その中で75歳以上の後期高齢者の医療が問題となっている。
 高齢者医療は年金制度の支給開始年齢や介護保険の対象年齢との整合性を考慮して、65歳以上を対象とし、75歳以上の後期高齢者と65歳以上75歳までの前期高齢者に分けて、それぞれの特性に応じた新しい制度を作ろうとしている。@後期高齢者については、加入者の保険料、国民健康保険および被用者保険の支援費及び公費によりまかなう新たな制度に加入する。A前期高齢者に対しては、制度間の前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整し、制度の効率性と公平性を確保する。
 現在後期高齢者医療特別部会で検討されているのは、後期高齢者の心身の特性として、@老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患(特に慢性疾患)が見られる、A多くの高齢者に、症状の軽重は別として、認知症の問題が見られる、Bいずれ避けることができない死を迎える、ということが示されている。
 この中で終末期医療に関するガイドラインの作成も検討されている。たたき台としては終末期医療及びケアのあり方として、@終末期における医療内容の開始、変更、中止等は、医学的妥当性と適切性を基に患者の意思決定を踏まえて、多専門職種の医療従事者から構成される医療・ケアチームによって慎重に判断すべきである。A可能な限り疼痛やその他の不快な症状を緩和し、患者・家族の精神的・社会的な援助も含めた綜合的な医療及びケアを行うことが必要である。Bどのような場合であっても、「積極的安楽死」や自殺幇助等の死を目的とした行為は医療としては認めない。さらに終末期医療及びケアの方針の決定手続きについても検討することになっている。(SF)
(No071;2007/03/02)


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