医療教育情報センター

アテローム血栓症(ATIS)

 高齢化、ライフスタイルの変化を背景に動脈硬化に起因する脳血管障害(脳梗塞など)、冠動脈疾患(心筋梗塞など)、末梢閉塞性動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など)の増加が懸念されている。これらの疾患は、血管壁(内膜)の傷害、血栓の形成により動脈の狭窄または閉塞を招くことにより発症することから、アテローム血栓症と総称される。全身の血管管理という視点からトータルリスクマネージメント(全身危機管理)が考えられるようになった。
 末梢閉塞性動脈疾患は、動脈硬化により末梢血管が狭窄または閉塞し、四肢、特に下肢の循環障害を来たして冷えやしびれ、間欠性は行(歩行により片側の下肢が痛みのため歩行障害が始まり、休むことで再びほぼ正常の歩行が可能になるが、再び同じような歩行距離で片側の下肢の痛みが再発し休むことになる)、安静時の痛み、壊疽、壊死などを起こす。 冠動脈疾患は、冠動脈(心臓の動脈)壁の傷害部位に形成される血小板血栓が冠動脈の狭窄または閉塞を起こして、狭心症と心筋梗塞などを起こす。
 脳血管障害は、脳の動脈の狭窄または閉塞で、一過性脳虚血発作(脳の動脈の閉塞が一過性で梗塞に至らずに比較的短時間に動脈の血流が回復するために神経症状が一過性で消失する発作)や脳梗塞を起こす。
 これらはそれぞれ合併しやすく、一つの疾患があると他の疾患も起こしやすく、3つの疾患が合併することもある。
 各疾患の既往、年齢(男性65歳以上、女性70歳以上)、喫煙(15本以上/日)、はアテローム血栓症のリスク(危険因子)で、各疾患の合併が多いほど経過は悪くなる。例えば末梢閉塞性動脈疾患と脳血管障害が合併している場合は、冠動脈疾患による死亡率が、末梢閉塞性動脈疾患や脳血管障害の単独の場合より高いことが分っている。
 これらの疾患の症状のある場合は、動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、喫煙)に対する治療と血栓に対する予防(抗血小板薬)と同時に、他のアテローム血栓症に対する注意を払う必要がある。
 血管外科医、循環器内科医、神経内科医などの専門医もトータルリスクマネージメントの概念で患者さんの全身を管理することが大切である。(SS

(No071r;2010/04/09)


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