医療教育情報センター

No73 タミフルと異常行動        

 インフルエンザ治療薬「タミフル」の服用後、転落や飛び降りなどの異常行動が2004年より23件起き、8人が死亡。うち10歳代については16件で5人が死亡していることが報告されていたが、これまで厚生労働省は一貫して因果関係に否定的な姿勢を続けてきた。
 しかしながら、同省は3月20日、タミフルを服用後、いずれも12歳の男児が転落し骨折する事故が新たに2件起きていたことを発表。「因果関係は明らかではない」としながらも、「10歳以上の未成年については、持病を持つハイリスク患者以外は原則、タミフル使用を控える」ように添付文書を改訂することを輸入販売している中外製薬に指示した。
 10歳以上にした理由については、「10代は体格が大きく、親が近くにいても異常行動を止められない恐れがあるとする一方、10歳未満はインフルエンザで死亡する危険性が10代の5倍も高いため対象から外した」と説明している。
 2005年度に集計された異常行動については36件あり、10歳未満が18件、10代では15件、20歳以上は40代、70代、90代がそれぞれ1件であった。半数を占める10歳未満については、体を激しく動かすなどの「異常行動」にとどまっている。
 異常行動はインフルエンザ自体によっても起きるとされているが、タミフル服用後に異常行動を起こした9歳女児がインフルエンザではないとの検査結果が出た事例や、インフルエンザにかかった少年(14歳)がタミフルを服用していないのに、自宅の2階から飛び降りる異常行動があった事例が報告されている。
 タミフルと異常行動の因果関係はまだ確定していないといえるが、薬に頼りすぎる日本社会の特性についても、この際、考え直す必要がある。ちなみに、タミフルは世界80カ国以上で販売されているが、世界の約8割に当たる約2450万人が日本で服用されている。製造元のロシュ社があるスイスでも、「インフルエンザに薬は不要」と処方しない医師が大半だという。
 すでに本欄で述べたが(No051;2006/01/16)、風邪やインフルエンザは感染症ではあるが、過労とかストレスで本人の免疫力が低下したときにかかりやすい。休養すれば約1週間で治る病気である。一方、タミフルで発症を抑えれば、免疫力を獲得せず一冬に2回以上感染することもあることを知るべきである。 (TI)

(No073;2007/03/30)


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