医療教育情報センター

睡眠は大切 −憂さを忘れて熟睡を−

 睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome:“A” は否定語、”pnea”の語源は空気、即ち無呼吸) が肥満との関係で広く取り上げられるようになり、運転中に居眠りのでる列車や自動車の運転手が話題になった。 最近では、睡眠とその他の病気との関係が調査研究され、いろいろなことが明らかになってきた。一部の大学病院には「睡眠センター」が開設されている。これは睡眠と他の疾患について、さまざまな専門分野の教員・医師達が長年活躍してきているので、それらを統合して医療現場で直接患者さんに実際に役立つことを目的として設置された。精神神経科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科及び多数の対象の長期追跡調査を行う疫学専門の公衆衛生学などの教員を網羅している。さらに外科などの他診療科の医師との協力関係も生まれてきている。
 日本人成人の4分の1は不眠を訴えているという。睡眠障害には、不眠、過眠(日中の眠気)、睡眠時間のずれ、睡眠中の異常な精神身体現象など、いろいろあり、更に不眠にも不眠症(精神生理的不眠)、周期性四肢運動障害、Restless Legs (休息しない足、むずむず足症候群)などがあると言うし、その上、寝つきが悪い、眠ってからしばしば目覚めてしまう、朝早く目覚めてしまう、など内容も様々であり、それらを分析して対応する必要がある。睡眠時無呼吸症候群は肥満や小顎等で睡眠時に気道が閉塞されて起こる。そこでCPAP(Continuous Positive Airway Pressure, 持続的気道内陽圧)やOral appliance(口腔内装置)などが開発されている。 
 不眠は、夜間であっても肉体の状態が覚醒している昼間に近いことを意味するので、交感神経興奮が優勢となり血圧は当然高くなる。眠れなくていらいらすれば、血圧は余計上がる。高血圧は動脈硬化の危険因子である。
 睡眠時無呼吸症候群を持っていた患者さんが急性心筋梗塞でショックに陥り、心臓外科で緊急冠動脈バイパス手術が行われて救命されたが、術後心機能の低下が続いたので、CPAP療法を施行したところ心機能や検査所見の顕著な改善をみたとの論文が最近報告された。生活習慣病ばかりでなく、多数の対象を長期に渡って調べると、学生時代に不眠を訴えた人達が高齢になると「うつ」を発症する危険性が優位に高いそうである。 睡眠は当然、脳の休息なのである。脳をいつも活性化していなければ、健康で長生きは覚束ないが、それは昼間の話であり、夜は休息を与えねばいけない。人間は昼間活動し、夜は休息するように出来ている。 (IS
【参考】新しい診療理念2008/12/19「睡眠と生活習慣病」

(No074r;2010/07/30)


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