医療教育情報センター

がんのピアサポート

 「がん対策基本法」は2007年4月施行され、6月「がん対策推進基本計画」が策定された。基本計画に含まれている「がん医療に関する相談支援及び情報提供」には、がん診療拠点病院では「がん相談支援センター」を設置し、「がん患者や家族等が,心の悩みや体験等を語り合うことにより、不安が解消された、安心感につながったという例もあることから、こうした場を自主的に提供している活動を促進していくための検討を行う」と記されている。
 自主的にがん患者が集まり、互いに経験や悩みを語り合う「がん患者会」がこれまでから存在し、互いに癒されたり勇気づけられることが知られているが、「がん相談支援センター」に、こうした場“患者サロン”を提供することを促がしている内容である。
 がん医療においてがん患者同士が支え合うことはピアサポートと呼ばれる。ピアサポート(peer support)とは、同じような立場の人や仲間による、“対等な支援”を意味し、同じような課題に直面する人同士がたがいに支えあうことが基本となる。  ピアサポートとして広く行われているのはミーティング形式であるが、典型的なスタイルは次のようなものである。

 1) 参加者全員で車座になる。
 2) ひとりずつ順番に話し役になり、自分の経験や現在の状況、思いなどを語る。他の
   者は話に傾聴する。
 3) 「言いっぱなし」「聴きっぱなし」が原則であり、感想を述べたり助言をすることは行
   わない。
 「普段口にできないようなことでもここでなら話して聴いてもらうことができる」というのが大きな特長であり、また、人の話を聴くことによって自分の気づきも促され、各自の成長・回復へとつながっていく。

 患者サロンを開設しているがん診療拠点病院が増えているが、サロン運営で中心的な役割を担ってほしいというねらいから、「がんのピアサポーター養成研修」が県単位で行われている。研修は、がん医療の基礎知識や個人情報の扱い方、カウンセリングの基礎などを身に付けた後、相談員役になって患者の話を聞くロールプレーなどを通じ、カウンセリング技術の向上を図る。既にこの研修を受けた人が巣立ってきており、今後の活動が期待される。(TI
  [参考]大松重宏:がん医療におけるピアサポート. 週刊医学界新聞 第2902号 2010年

(No079r;2011/01/14)


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