医療教育情報センター

日本人の寿命は何故長い。誰に感謝すべきか?

 「人生僅か50年」と言われていたのが、日本人の寿命は今や世界一長くなった。どうしてだろうか。
 日本は島国なので、外来伝染病が入り難く防ぎ易いという利点がある。特に航空機が発達していない時代には極めて有効だった。グローバル化と共に感染症も入り易くなっただろうが、大陸の陸続きの国よりは防ぎ易い。四季があり、温暖な自然に恵まれ、綺麗な水は豊富にある。日本人は、飲料水は無料で手に入ると思っている、と外国人が言っている。ヨーロッパの先進国でさえ水道の水は飲めない。レストランでも水は買うものである。時にはワインよりも高いと言われている。また、日本食(魚、穀物、野菜が多い)は食塩さえ過多でなければ、健康食である。動脈硬化予防食なのである。サプリメントなどは必要ない。生活習慣病とは、生活習慣、即ち飲食物、嗜好品、適度の運動(脳も含めて)などで、心筋梗塞や脳梗塞や糖尿病にならないようにと言っているのである。なってからでは遅い。
 明治維新の後、日本は統一され中央集権の法治国家となった。徴兵のためかも知れないが戸籍が創られ、山の中にも小学校が造られ、あっと言う間に無学文盲は居なくなった。昔、結核は国民病と言われていた。ツベルクリン検査、BCG接種などで結核の撲滅は急速に進んだ。このスピードは世界史の中で例を見ない。戸籍制度、義務教育制度のお蔭でもある。太平洋戦争敗戦後、当然戦死者は居なくなった。経済がよくなって上下水道などのインフラが整備されたのは、企業特に技術産業が輸出で儲けて、法人税収が増加したお蔭である。国の経済が向上すれば、餓死者は出ず、国民の栄養状態も向上し、健康保持に寄与する。
 GDP(国内総生産)では日本はお金持ちなのに、先進国の中で国民の医療負担費は最も少なく、健康保険のお蔭で患者さんは少ない自己負担金で何時でも何処でも病院や医院へ行くことが出来る世界で珍しい国である。日本の乳児死亡率(国の衛生状態の指標)は世界最低で、平均寿命は世界最高であり、WHO(世界保健機関)によれば良質の医療を国民全員へ提供している国で、多くの高齢者は健康で幸福感のある生活を送っていると言われている。勿論、医療従事者の献身的な努力は現在でも続いている。
 それでは誰に感謝すべきだろうか。福祉とは困っている人を皆なで救おうと言う他者への慈愛の心から生まれるものである。近代化を果たした我々の先祖、美しい国土、税や保険料を負担している今の日本人全員に感謝し乍ら生きたいと思う。(IS

(No080r;2011/02/10)


平均寿命 生活習慣 結核 国民医療費 乳児死亡率

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