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男性更年期障害と加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)

 この二つの病態は類似疾患として混同されていたが、最近、LOH 症候群診療ガイドラインが作成され、それぞれの位置づけが明確になった。
 加齢男性性腺機能低下症候群(late―onset hypogonadism、LOH)は、加齢により男性ホルモンであるアンドロゲンが低下して起こる疾患である。アンドロゲンは言うまでもなく、男性としての機能を発揮するホルモンで、男性性器の発育促進、性欲・性衝動の亢進、体毛の増加、筋肉量の増加などの生理作用を持つ。加齢によりこのホルモンが減少してくると、男性としての機能は低下するが、その他、脂肪量の増加、骨密度の低下、造血機能低下による貧血なども生じる。またメタボリックシンドロームの促進や認知機能の低下なども起こし、老化が益々促進すると言われている。LOH症候群の診断にはアンドロゲンの1種であるテストステロンの血中濃度を測定するが、20歳代男性の平均値、8.5pg/ml以下の場合は、アンドロゲン注射による補充療法が行われる。
 一方、男性更年期障害はLOH症候群の1症状であるが、初老期〜高齢者うつ病とも紛らわしいため、診療の現場では混乱が生じていた。そこで日本泌尿器科学会と日本Men‘s Health 医学会によりガイドラインが作成され、男性更年期障害とLOH症候群の位置づけが明らかにされた。すなわち男性高齢者うつ病、男性更年期障害、LOH症候群の3者は、お互いにその症状はオーバーラップするが、それらは独立したもので、とくに男性更年期障害の病態は複雑で、すべてアンドロゲンの低下のみでは説明できない。男性更年期障害は、主として更年期に発症する多彩な身体症状、精神症状を伴う疾患である。これに対してLOH症候群は、更年期、熟年期、老年期にかけて発症し、基本的にはアンドロゲンの低下が原因である。したがってLOH症候群の治療の基本はアンドロゲン補充療法である。
 高齢化社会において、LOH症候群の重要性が高まっている。世界的にみて男女の寿命差が広がっている。わが国では男性の平均寿命が80歳であるのに対し、女性は86歳である。男性の方が約6年早く死亡する。こうしたことからWHO では、国際Aging Male学会を組織した。高齢男性が健康で長生きし、QOLの高い生活を送るためにも、LOH症候群の診療は今後、さらに関心が持たれるであろう。 (NH

(No084r;2011/07/01)


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