医療教育情報センター

No88 救急延命中止

 日本救急医学会は平成19年10月15日、救急医療の現場で延命治療を中止する手順を示した初のガイドライン(指針)を決めたことが報道された。これは学会が2月に「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」を公表し、会員や国民から意見を募り、寄せられた207件の意見や提言をもとに一部修正して、評議員会で承認されたものである。
 救急医療の現場では、救急車で運ばれて来た重症の患者に、必要な場合には気管内挿管をして人工呼吸器をつけて蘇生に全力を注ぐが、回復の可能性が全くなくなった場合に治療を継続するか或いは中止すべきか問題となる。脳に障害を受けた患者の意識が回復せず、自発呼吸も見られなければ脳死状態に近いと考えられる。また治療を開始してから、患者ががんあるいは他の慢性疾患(心臓、肝臓、腎臓)の末期であることが分かれば、治療を続けても回復する可能性はない。
 家族が駆けつけて来られ、そこで患者の現在の状態と回復の可能性について医師から説明されて、家族が人工呼吸器の停止を希望すれば中止されるが、中には納得できなくて、わずかなチャンスを求めて治療の継続を望まれることもある。さらに問題なのは家族や身寄りのない人、あるいは身内の人に連絡が取れない場合、回復の可能性のない患者への治療をいつまで続けるかである。リビングウイルなど予め意思表示があれば、それを尊重するが、ない場合には医療チームで治療中止を判断し、チームで結論がでなければ院内倫理委員会で検討するとしている。
 急性期の救命治療で全身状態が改善しても意識が回復せず、自発呼吸も弱くて人工呼吸器の助けが必要な患者、特に高齢者の場合に予後の判定が困難で、積極的な集中治療をいつまで続けるか更に難しい選択を迫られることがある。
 医療技術の進歩によりいろいろな延命治療が可能になり、病気を持っている人あるいは高齢者の場合、あらかじめ急変時にどのような医療をどこまで受けたいか、リビングウイルあるいは事前指示書のような文書を残すか、家族との間で話し合っておくことが大切であると思われる。(SF)

(No088;2007/12/07)

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