医療教育情報センター

うつ病と認知症が増加し、精神疾患が国民病に

 従来の国民病は「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」「糖尿病」の4疾患だったが、精神疾患は5番目のしかも患者数が最多で、これを加えて5疾患が国民病となることを厚生労働省が決めた。精神疾患の患者数の急増は通院や入院をしている人数ががん患者の2倍で、特にうつ病と認知症の増加が目立ち、年間3万人を超える自殺者の9割が精神疾患にかかっていた可能性があるとも言われている。
 うつ病は、気分障害とも言われ、うつ病性障害と双極性障害に分けられる。うつ病性障害は、躁状態が全くみられない場合をいう。うつ病性障害の精神症状として、抑うつ気分、興味・関心の低下、気力の低下、精神運動性の変化、思考力・集中力の減退、無価値感、罪責感、自殺念慮・企図、病的思考内容、妄想などがあげられる。うつ病性障害の身体症状は多彩で、全身倦怠感、頭痛・頭重、腰痛、動悸・息切れ、食欲減退、体重減少などがみられ、睡眠障害として不眠、時に過眠がみられる。治療には良好な治療者―患者関係が創られることが大切である。治療の第1選択薬として、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI(デプロメール(R)、ルボックス(R)、パキシル(R)、ジェイゾロフト(R))およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬SNRI(トレドミン(R)、サインバルタ(R))がある。抗うつ薬を服用開始約1ヶ月後に効果がみられない場合、抗うつ薬の変更を行う。改善が見られた場合には、再燃予防のために有効量を少なくとも半年は継続する。その後は徐々に減量し、中止する。再発を繰り返している場合は、抗うつ薬の長期服用が必要になる。
 双極性障害はかって躁うつ病とよばれ、少なくとも1回以上の躁病ないし軽躁病エピソードからなる症候群である。双極性うつ病エピソードの治療は、軽症〜中等症では気分安定薬(リーマス(R)、デパケン(R))と抗うつ薬を併用する。抗うつ薬は躁転率の低いSSRIが推奨される。
 認知症には、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがある。アルツハイマー病の認知機能障害として近時記憶障害が特徴的で保険適応薬剤が増え(アリセプト(R)、メマリー(R)、レミニール(R)、リバスタッチ(R))、また妄想、うつ症状、アパシー(無関心)等の多彩な精神症状が高頻度に認められる。レビー小体型認知症は進行性認知症と、パーキンソン病様症状、幻視、妄想などがみられ、パーキンソン病様症状にレボドパが使われる。前頭側頭型認知症は、行動異常の改善にSSRIが使われる。(SS

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(No088r;2011/11/18)


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