医療教育情報センター

新型インフルエンザ対策特別措置法について

 わが国では2009年に新型インフルエンザが大流行し、国内で約2,000万人が感染したが、ウイルスは豚に由来する毒性の弱いH1N1型であった。強毒性の鳥インフルエンザH5N1型の流行が心配されており、これが流行すれば国内で最大64万人が死亡すると推計されている。
 こうした万一の状況に対応するため、政府は強い毒性と感染力をもつ新型インフルエンザの流行に備えた特別措置法を制定し、通常国会に提出し成立を図ることにした、という報道が平成24年1月10日の読売新聞朝刊で報じられた。法案の概要を見ると、強毒性インフルエンザの流行が確認されると、政府内に対策本部が設置され、「緊急事態」宣言が出される。宣言後は国民の外出自粛要請、集会、催しものの中止・延期も指示される。企業などが医薬品や食料品の売渡し要請を拒否した場合は、物資不足を防ぐため国は強制的に収用することが出来るという。医療面では診療体制を確保するため、医師らに治療を続けるよう指示し、患者が一部地域に限定される場合は、当該地域の住民にワクチンの集中的接種や同地域への立ち入り制限も可能にする規定を検討するという。電力、ガス、水道などのライフライン関係業者を「指定公共機関」とし、流行時も業務を続けるよう業務計画を指示する。
 今回の特別措置法は従来の「感染症対策」の枠を超え、新型インフルエンザの流行を「国家の危機管理」と位置付けたことが特徴と考えられる。東日本大震災で経験した緊急事態の教訓を生かして法整備を急いだことは評価できるので、与野党一致でこの法案が成立することを期待したい。(NH

(No090r;2012/01/16)


新型インフルエンザ 鳥インフルエンザウイルス 緊急事態宣言 感染症対策 危機管理

新しい診療理念・バックナンバー