医療教育情報センター

No94 再びメタボ健診について

来る4月1日から始まる「特定健康診査(特定健診)・特定保健指導」については、既にこの医療ニュース(No.85)でも紹介した。国による「医療費適正化計画」の一環として、医療費2兆円を削減しようという新事業である。
 対象は40歳から74歳までの国民5600万人である。これほどの大規模な事業なのに、本来の受益者である筈の国民はもちろん、実際に行う医師はじめ医療関係者にも十分な情報が伝わってこない。
 この健診の狙いはメタボリック症候群(内臓脂肪症候群)を早く見つけ出して発病を予防するというものである。心臓病や糖尿病などの生活習慣病の多くが、内臓に脂肪が蓄積する肥満(内臓脂肪型肥満)が原因であるという理由から、このメタボリック症候群を早く見つけて、生活習慣病の発病を抑えようというのである。これを今まで市町村が40歳以上の住民を対象に行ってきた基本健康診査(住民健診)に代わるものにしようというのである。新しいメタボ健診の実施者は、市町村でなく国民健康保険、被用者保険(組合健保、政管健保)などの保険者となる。この対象が40歳〜74歳の被保険者と被扶養者になる。75歳以上では「後期高齢者医療保険」という別の新しい医療保険制度が出来ることになっている。
 この健診はメタボリック症候群の診断基準により、そのリスクを持つ受診者を抽出し、医師、保健師、管理栄養士による栄養指導が行われる。しかしこれは病人を見つけるのでなく、病気になりそうな人に医師が早期から介入し、指導するというものなので、「余計なお節介」とか「大きなお世話」と考える人が出ても不思議ではないかもしれない。しかも健診後の保健指導を受ける人を階層化し、腹囲、血圧、血糖値、脂質値などのリスクを持った人に対する保健指導の候補者選定を保険者が行う。保険者は5年後の2012年度までに特定健診の受診率70%、保健指導の実施率45%、さらにメタボリック症候群の該当者10%の減少を目標とし、もしこれが達成されなかったら、後期高齢者制度への拠出金が10%ペナルテイとして加算される。
 こうした制度を国民は果たして納得しているのかどうか。たとえ納得しなくても、政府主導で行われることになっている、しかしこの制度自体まだ十分準備が整っておらず、医療機関の整備、保健指導人材の不足など、4月実施を前にして危惧する声は大きい。準備不足からずれ込むという話も聞く。第一、メタボリック症候群だけに焦点を合わせた健診で、本当に医療費が削減できるのか、保険者(ひいては雇用者)は見つかったメタボ症候群予備軍の人が指導に応じなかったと称してどういう罰則を課するのか、このメタボ健診の影響で「がん検診」がおろそかにならないか、いろいろ心配する声が出ている。  (NH)


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(No094;2008/03/07)

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